西川口キリスト教会 斎藤 信一郎 牧師
今月の主題…「約束を誠実に実行し続ける神」
◆前回から今回の箇所までの流れ
前回は直前の23章でした。当時、死海の西側の一部の地域を支配していたヘト人の土地で、後にヘブロンと呼ばれることになる場所に、アブラハムが妻サラを埋葬するための墓地を購入する話でした。この場所はアブラハムが生涯で唯一手に入れた土地であり、自分、息子のイサクと妻リベカ、孫のヤコブと妻レアが葬られていく墓です。今回の箇所は、信頼する僕を、息子イサクの嫁を探しに親族のところへ行かせる話です。
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に聖書地図で確認し、違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟発行の教会学校教案誌です。詳細は下記のURLでご照会下さい。 http://www.bapren.com/index.html (『聖書教育』ホームページ)
◆黙想のポイント
この箇所で示される様々な祈りの可能性や祈る内容について黙想しましょう。
◆イサクとリベカの結婚
24:1 アブラハムは多くの日を重ね老人になり、主は何事においてもアブラハムに祝福をお与えになっていた。 24:2 アブラハムは家の全財産を任せている年寄りの僕に言った。「手をわたしの腿の間に入れ
>>>全財産を預けていたほど信頼していた僕がいたことが語られます。この僕も老齢だったようですが、自分の息子の嫁探しのために、異国の地へ向かわせます。それだけ、息子イサクの嫁探しは重要だったということでしょう。本来ならばアブラハム自身が行くべきところかも知れませんが、アブラハムは神との約束をかたくなに守ろうとしているかのようです。つまり、カナンの地を自分と子孫に与えるとの約束です。
24:3 天の神、地の神である主にかけて誓いなさい。あなたはわたしの息子の嫁をわたしが今住んでいるカナンの娘から取るのではなく、 24:4 わたしの一族のいる故郷へ行って、嫁を息子イサクのために連れて来るように。」24:5 僕は尋ねた。「もしかすると、その娘がわたしに従ってこの土地へ来たくないと言うかもしれません。その場合には、御子息をあなたの故郷にお連れしてよいでしょうか。」 24:6 アブラハムは答えた。「決して、息子をあちらへ行かせてはならない。 24:7 天の神である主は、わたしを父の家、生まれ故郷から連れ出し、『あなたの子孫にこの土地を与える』と言って、わたしに誓い、約束してくださった。その方がお前の行く手に御使いを遣わして、そこから息子に嫁を連れて来ることができるようにしてくださる。
>>>結婚相手を探す当人も行かず、その父親も行かないで嫁を異国から探すというのは、かなり難しい使命だったに違いありません。主人と僕との会話には、僕の当惑ぶりが伺えます。
24:8 もし女がお前に従ってこちらへ来たくないと言うならば、お前は、わたしに対するこの誓いを解かれる。ただわたしの息子をあちらへ行かせることだけはしてはならない。」 24:9 そこで、僕は主人アブラハムの腿の間に手を入れ、このことを彼に誓った。 24:10 僕は主人のらくだの中から十頭を選び、主人から預かった高価な贈り物を多く携え、アラム・ナハライムのナホルの町に向かって出発した。
>>>僕は「十頭」のらくだを選んだとあります。十という数字が聖書で再び用いられる箇所です。この箇所で「十」という数字は、これだけあれば必要十分な量になる、という単位として用いられていると考えられます。また、アブラハムの弟は今や「ナホルの町」と言われる町を建て、その地に定着していることが伺えます。
24:11 女たちが水くみに来る夕方、彼は、らくだを町外れの井戸の傍らに休ませて、 24:12 祈った。「主人アブラハムの神、主よ。どうか、今日、わたしを顧みて、主人アブラハムに慈しみを示してください。 24:13 わたしは今、御覧のように、泉の傍らに立っています。この町に住む人の娘たちが水をくみに来たとき、 24:14 その一人に、『どうか、水がめを傾けて、飲ませてください』と頼んでみます。その娘が、『どうぞ、お飲みください。らくだにも飲ませてあげましょう』と答えれば、彼女こそ、あなたがあなたの僕イサクの嫁としてお決めになったものとさせてください。そのことによってわたしは、あなたが主人に慈しみを示されたのを知るでしょう。」
>>>僕なりに神に祈りながら、自分の人間観察によってではなく、神の導きの中でふさわしい人を探すためにどうすればいいかを考えて、神に願いを聞き届けてもらえるように祈る様子が伺えます。聖研祈祷会の中では、僕はらくだにも水を飲ませてくれるほどの器量人を探そうとしたのではないか、という想像や、らくだたちに何度も水をくむことができるほど健康体の女性を探そうとしたのではないか、との意見もありました。
24:15 僕がまだ祈り終わらないうちに、見よ、リベカが水がめを肩に載せてやって来た。彼女は、アブラハムの兄弟ナホルとその妻ミルカの息子ベトエルの娘で、
>>>祈りに対する神のみ業は、いつも私たちを驚かせます。この箇所も、神が僕よりも前に、リベカの嫁探しを導いておられたことが表現されています。
24:16 際立って美しく、男を知らない処女であった。彼女が泉に下りて行き、水がめに水を満たして上がって来ると、 24:17 僕は駆け寄り、彼女に向かい合って語りかけた。「水がめの水を少し飲ませてください。」 24:18 すると彼女は、「どうぞ、お飲みください」と答え、すぐに水がめを下ろして手に抱え、彼に飲ませた。 24:19 彼が飲み終わると、彼女は、「らくだにも水をくんで来て、たっぷり飲ませてあげましょう」と言いながら、 24:20 すぐにかめの水を水槽に空け、また水をくみに井戸に走って行った。こうして、彼女はすべてのらくだに水をくんでやった。 24:21 その間、僕は主がこの旅の目的をかなえてくださるかどうかを知ろうとして、黙って彼女を見つめていた。 24:22 らくだが水を飲み終わると、彼は重さ一ベカの金の鼻輪一つと十シェケルの金の腕輪二つを取り出しながら、 24:23 「あなたは、どなたの娘さんですか。教えてください。お父さまの家にはわたしどもが泊めていただける場所があるでしょうか」と尋ねた。 24:24 すると彼女は、「わたしは、ナホルとその妻ミルカの子ベトエルの娘です」と答え、 24:25 更に続けて、「わたしどもの所にはわらも餌もたくさんあります。お泊まりになる場所もございます」と言った。 24:26 彼はひざまずいて主を伏し拝み、 24:27 「主人アブラハムの神、主はたたえられますように。主の慈しみとまことはわたしの主人を離れず、主はわたしの旅路を導き、主人の一族の家にたどりつかせてくださいました」と祈った。
>>>神の備えに感激し、祈らずにはいられない僕でした。最初に訪れた娘は未婚で、しかも主人アブラハムのまさに親族の娘でした。さらに彼女は、祈り通りに、水をらくだにも飲ませるような器量人だったばかりでなく、19節で「また水をくみに井戸に走って行った。」とあるように、元気な娘であったことが表現されています。神に信頼して祈る者に、神は誠実に、神の側でも御業を行われることに励まされます。
◆話し合いのポイント
- 聖書教育誌の「話し合いのポイント」および少年少女科の「活動」などを参考にして下さい。
- 青年成人科の「話し合いのポイント」や少年少女科の「おはなし」少年少女科のコラムも考えさせられます。
- 今回は特に祈りをテーマにしています。各自の体験談を交えながら、豊かな分かち合いがなされることを期待します。