<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に聖書地<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に聖書地図で確認し、違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟から発行されています。詳細は下記のURLでご照会下さい。 http://www.bapren.com/index.html (『聖書教育』ホームページ)図で確認し、違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
◆黙想のポイント
今回の箇所は前回の39章の続きです。偽りの証言のために牢屋に入れられたヨセフのその後の物語が展開します。聖書教育誌は、忘れ、忘れられてしまう人間の側の問題と決して見捨てずに共に歩み続けて下さる神とを対比しています。もう一つの視点として、様々なつらさのために信仰が揺らぐ時の対処方について私たちに考えさせています。この紙面では引き続き、ヨセフと主イエスとの対比に注目していくことにします。
◆夢を解くヨセフ
40:1 これらのことの後で、エジプト王の給仕役と料理役が主君であるエジプト王に過ちを犯した。
40:2 ファラオは怒って、この二人の宮廷の役人、給仕役の長と料理役の長を、 40:3 侍従長の家にある牢獄、つまりヨセフがつながれている監獄に引き渡した。 40:4 侍従長は彼らをヨセフに預け、身辺の世話をさせた。牢獄の中で幾日かが過ぎたが、 40:5 監獄につながれていたエジプト王の給仕役と料理役は、二人とも同じ夜にそれぞれ夢を見た。その夢には、それぞれ意味が隠されていた。
*ヨセフ物語では不思議に思うほど、二度以上繰り返される出来事、二人の人物等が登場します。この箇所もそうです。王に仕える二人の宮廷役人の世話を任されたヨセフ。彼らが同時に二つの夢を見ます。かつてヨセフも二つの暗示的な夢を見ています。今回で二度目の二つの夢の登場です。5節には、夢には時として、そこに神からの特別な意味が隠されていることが示唆されています。➔福音書にも多くの、二度以上繰り返される出来事(パンと魚で大勢を養う、舟の中で嵐に悩む弟子たちを助ける主イエス等)や人物(二人の盲人、二人の天使等)が登場します。
40:6 朝になって、ヨセフが二人のところへ行ってみると、二人ともふさぎ込んでいた。 40:7 ヨセフは主人の家の牢獄に自分と一緒に入れられているファラオの宮廷の役人に尋ねた。「今日は、どうしてそんなに憂うつな顔をしているのですか。」 40:8 「我々は夢を見たのだが、それを解き明かしてくれる人がいない」と二人は答えた。ヨセフは、「解き明かしは神がなさることではありませんか。どうかわたしに話してみてください」と言った。
*この箇所の解釈は聖書教育誌が大変優れています。そちらを参考にして下さい。次回のファラオが見た夢の解き明かしの箇所と合わせて、ヨセフの夢の解き明かしが、最初は自分自身の出来事であったものから、牢獄では他者の夢を神の御業と結びつけるようになり、やがて次の箇所では、王と共に積極的に神の御業の実現に関わる者となっていく姿が語られていきます。➔主イエスの場合には、夢に変えて数々の旧約聖書の預言を、積極的に実現して行かれる姿が語られています。
40:9 給仕役の長はヨセフに自分の見た夢を話した。「わたしが夢を見ていると、一本のぶどうの木が目の前に現れたのです。 40:10 そのぶどうの木には三本のつるがありました。それがみるみるうちに芽を出したかと思うと、すぐに花が咲き、ふさふさとしたぶどうが熟しました。 40:11 ファラオの杯を手にしていたわたしは、そのぶどうを取って、ファラオの杯に搾り、その杯をファラオにささげました。」 40:12 ヨセフは言った。「その解き明かしはこうです。三本のつるは三日です。 40:13 三日たてば、ファラオがあなたの頭を上げて、元の職務に復帰させてくださいます。あなたは以前、給仕役であったときのように、ファラオに杯をささげる役目をするようになります。 40:14 ついては、あなたがそのように幸せになられたときには、どうかわたしのことを思い出してください。わたしのためにファラオにわたしの身の上を話し、この家から出られるように取り計らってください。 40:15 わたしはヘブライ人の国から無理やり連れて来られたのです。また、ここでも、牢屋に入れられるようなことは何もしていないのです。」
*給仕役の長が見た夢は、生きたぶどうの木に関するもの。そして、杯が登場する内容となっています。➔これは、最後の晩餐で主イエスが弟子たちに与えた言葉を思い出させると共に、私たちを滅びから救い、命をあがなわれる復活の主イエス・キリストご自身と重なります。主イエスもまた、三日目によみがえられました。
40:16 料理役の長は、ヨセフが巧みに解き明かすのを見て言った。「わたしも夢を見ていると、編んだ籠が三個わたしの頭の上にありました。 40:17 いちばん上の籠には、料理役がファラオのために調えたいろいろな料理が入っていましたが、鳥がわたしの頭の上の籠からそれを食べているのです。」 40:18 ヨセフは答えた。「その解き明かしはこうです。三個の籠は三日です。 40:19 三日たてば、ファラオがあなたの頭を上げて切り離し、あなたを木にかけます。そして、鳥があなたの肉をついばみます。」
*料理役の長の夢はぶどうの木のような生きた木ではなく、切り取られた植物を加工して作られた籠が登場します。そして、死刑が預言されます。➔主イエスの処刑には、十字架という加工された木が用いられました。また、頭にかぶせられたいばらの冠も、植物を加工して出来たものでした。しかも、三日という数字は主イエスが死んで黄泉に三日おられた期間と重なります。
40:20 三日目はファラオの誕生日であったので、ファラオは家来たちを皆、招いて、祝宴を催した。そして、家来たちの居並ぶところで例の給仕役の長の頭と料理役の長の頭を上げて調べた。 40:21 ファラオは給仕役の長を給仕の職に復帰させたので、彼はファラオに杯をささげる役目をするようになったが、 40:22 料理役の長は、ヨセフが解き明かしたとおり木にかけられた。
*ヨセフ物語に登場する二人の囚人。一方は王による恩赦を受けて解放されます。もう一方は死刑になります。➔この話の展開の仕方は、暴動と殺人を
40:23 ところが、給仕役の長はヨセフのことを思い出さず、忘れてしまった。
*ヨセフから神の祝福と夢の解き明かしを聞いた給仕役でしたが、ヨセフの期待を裏切り、彼は忘れられてしまいます。➔数々の福音を語り、人々の人生に神の祝福と将来の希望を語り聞かせた主イエス。多くの人を様々な束縛、病気、苦しみから解放されるように尽力し、関わられた主イエス。しかし、その多くの人が問題が解決すると、主イエスを忘れてしまいました。主イエスの伝道の生涯と重なります。
*ヨセフは夢の解き明かしにより、希望を見出しかけていましたが、期待を裏切られます。しかし、ヨセフは神の臨在の中で希望を失いません。神のご計画は私たちの希望、期待、そして人生計画とは違うかも知れません。しかし、神の側には理由があって様々な試練を通して最善の結果を導いて下さいます。ヨセフ物語にもそのテーマが語られています。
*コリントの信徒への手紙10章13 「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。」
ペトロの第一の手紙1章7節 「あなたがたの信仰は、その試練によって本物と証明され、火で精錬されながらも朽ちるほかない金よりはるかに尊くて、イエス・キリストが現れるときには、称賛と光栄と誉れとをもたらすのです。」
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thanks!! to Mihai ParaschivによるPixabay