斎藤 信一郎 牧師
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に聖書地図で確認し、違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟から発行されています。詳細は下記のURLでご照会下さい。 http://www.bapren.com/index.html (『聖書教育』ホームページ)
◆黙想と分かち合いのポイント
今月は平和を覚える月間です。聖書教育誌は、真実のシャローム(神の幸い、神の平和)とは何かを私たちに考えるよう促しています。また、あらゆる生活がエジプト化していく中で、ヨセフが敢えて自分の子どもたちにヘブライ語の名前を付けたことにも着目しています。平和を覚える月間と関連付けるのも良いでしょう。豊かな分かち合いがなされることを願います。
◆ヨセフの支配
41:37 ファラオと家来たちは皆、ヨセフの言葉に感心した。 41:38 ファラオは家来たちに、「このように神の霊が宿っている人はほかにあるだろうか」と言い、 41:39 ヨセフの方を向いてファラオは言った。「神がそういうことをみな示されたからには、お前ほど聡明で知恵のある者は、ほかにはいないであろう。 41:40 お前をわが宮廷の責任者とする。わが国民は皆、お前の命に従うであろう。ただ王位にあるということでだけ、わたしはお前の上に立つ。」 41:41 ファラオはヨセフに向かって、「見よ、わたしは今、お前をエジプト全国の上に立てる」と言い、41:42 印章のついた指輪を自分の指からはずしてヨセフの指にはめ、亜麻布の衣服を着せ、金の首飾りをヨセフの首にかけた。 41:43 ヨセフを王の第二の車に乗せると、人々はヨセフの前で、「アブレク(敬礼)」と叫んだ。ファラオはこうして、ヨセフをエジプト全国の上に立て、 41:44 ヨセフに言った。「わたしはファラオである。お前の許しなしには、このエジプト全国で、だれも、手足を上げてはならない。」 41:45 ファラオは更に、ヨセフにツァフェナト・パネアという名を与え、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナトを妻として与えた。ヨセフの威光はこうして、エジプトの国にあまねく及んだ。
>>>ヨセフの神であるイスラエル(ヤコブ)の神が、エジプトの王であるファラオと重臣たちに、強烈に認知された出来事でした。一同がヨセフを信じてエジプトの未来を彼に託したのです。ただし、聖書教育誌が語る通り、ヨセフの名前、身なり、妻さえもエジプト一色に染まっていくことになります。
41:46 ヨセフは、エジプトの王ファラオの前に立ったとき三十歳であった。ヨセフはファラオの前をたって、エジプト全国を巡回した。41:47 豊作の七年の間、大地は豊かな実りに満ち溢れた。 41:48 ヨセフはその七年の間に、エジプトの国中の食糧をできるかぎり集め、その食糧を町々に蓄えさせた。町の周囲の畑にできた食糧を、その町の中に蓄えさせたのである。 41:49 ヨセフは、海辺の砂ほども多くの穀物を蓄え、ついに量りきれなくなったので、量るのをやめた。 41:50 飢饉の年がやって来る前に、ヨセフに二人の息子が生まれた。この子供を産んだのは、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナトである。41:51 ヨセフは長男をマナセ(忘れさせる)と名付けて言った。「神が、わたしの苦労と父の家のことをすべて忘れさせてくださった。」 41:52 また、次男をエフライム(増やす)と名付けて言った。「神は、悩みの地で、わたしに子孫を増やしてくださった。」
>>>どんなに異教の国で生活するようになっても、ヨセフはイスラエルの神を第一にしていたことが分かる箇所です。生まれた子どもたちにヘブライ語の名前を付けただけでなく、神への信仰告白を込めた名前にしました。
41:53 エジプトの国に七年間の大豊作が終わると、 41:54 ヨセフが言ったとおり、七年の飢饉が始まった。その飢饉はすべての国々を襲ったが、エジプトには、全国どこにでも食物があった。 41:55 やがて、エジプト全国にも飢饉が広がり、民がファラオに食物を叫び求めた。ファラオはすべてのエジプト人に、「ヨセフのもとに行って、ヨセフの言うとおりにせよ」と命じた。 41:56 飢饉は世界各地に及んだ。ヨセフはすべての穀倉を開いてエジプト人に穀物を売ったが、エジプトの国の飢饉は激しくなっていった。 41:57 また、世界各地の人々も、穀物を買いにエジプトのヨセフのもとにやって来るようになった。世界各地の飢饉も激しくなったからである。
>>>いよいよすべてが、ヨセフに託された神の預言の通りに成就し始めました。神のご計画とは、ヨセフを用いて世界規模で起きる飢饉から人々の命を救うことでした。そのために神は、取るに足らない一人の奴隷だった囚人を用いられると共に、エジプトという強大な国の力も用いられました。ヨセフ物語を通して、神が如何にすべての存在、また負の出来事さえも用いながら、み業を行っていかれるかを知ることができます。しかし、かつて無いほど順調に見えるヨセフですが、心の深いところに残された傷は未だ完全には癒されていなかったのでした。神の救いのみ業は私たちの命だけでなく心の問題にもおよぶことを、次回学んでいきましょう。
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