総合テーマ 立場を弁える幸い
◆前回からのあらすじ…
律法学者やパリサイ人たちとの問答を重ねつつ、天の国に招かれている幸いについて語り続けられる主イエス。その一方で、十字架を見据えながら受難予告を開始される主イエス。
黙想のポイント
*これまで2度受難予告をされた主イエスでした。十字架を担う覚悟を強めていた主イエスが赦しについて語る時、そこにはどのような思いが込められていたのか黙想しましょう。
◆「仲間を赦さない家来」のたとえ
18:21 そのとき、ペトロがイエスのところに来て言った。「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯したなら、何回赦すべきでしょうか。七回までですか。」
>>>ペトロは完全数である7と言う数字を用いて主イエスに「赦すこと」について自信たっぷりに質問したのではないかと想像します。しかし、彼の期待を裏切る返事がこの後主イエスから返ってくることになります。
18:22 イエスは言われた。「あなたに言っておく。七回どころか七の七十倍までも赦しなさい。
>>>主イエスは7の70倍まで赦すようにと答えました。これは無限の一歩手前まで赦すことを意味するものでした。それだけの覚悟と必要性を実感しながら主イエスは十字架への道を歩んでおられたことを考えさせられます。
18:23 そこで、天の国は次のようにたとえられる。ある王が、家来たちに貸した金の決済をしようとした。
18:24 決済し始めたところ、一万タラントン借金している家来が、王の前に連れて来られた。
18:25 しかし、返済できなかったので、主君はこの家来に、自分も妻も子も、また持ち物も全部売って返済するように命じた。
18:26 家来はひれ伏し、『どうか待ってください。きっと全部お返しします』としきりに願った。
18:27 その家来の主君は憐れに思って、彼を赦し、その借金を帳消しにしてやった。
18:28 ところが、この家来は外に出て、自分に百デナリオンの借金をしている仲間に出会うと、捕まえて首を絞め、『借金を返せ』と言った。
18:29 仲間はひれ伏して、『どうか待ってくれ。返すから』としきりに頼んだ。
18:30 しかし、承知せず、その仲間を引っぱって行き、借金を返すまでと牢に入れた。
>>>1デナリオンは1日分の日当を意味します。従って、家来は仲間に100日分の日当を貸していたことになります。安息日や祝祭日を指し引いて仕事をする日を計算すると、年間約300日が労働日となります。すると一年の約1/3に匹敵する多額のお金をこの家来は仲間に貸していたことになります。しかし、家来が王様に借りていた1万タラントンの借金と比べた場合にはどうでしょうか。1タラントンとは1デナリオンの6000倍の貨幣価値を意味します。1デナリオンだけでも約20年分の日当に匹敵する借金です。そのさらに1万倍が1万タラントンです。どのようなことをすればこれほどの借金が出来てしまうのかわかりませんが、それは自分の力だけでは到底返しきれない金額だったと言うことを意味します。このことを考慮に入れると、王様の犠牲と決断が並大抵のものではなかったことが分かります。
18:31 仲間たちは、事の次第を見て非常に心を痛め、主君の前に出て事件を残らず告げた。
18:32 そこで、主君はその家来を呼びつけて言った。『不届きな家来だ。お前が頼んだから、借金を全部帳消しにしてやったのだ。
18:33 わたしがお前を憐れんでやったように、お前も自分の仲間を憐れんでやるべきではなかったか。』
18:34 そして、主君は怒って、借金をすっかり返済するまでと、家来を牢役人に引き渡した。
>>>結局家来は主君の憐みを理解せず、その家来に相応しい憐みを隣人に示すことができなかったため、永遠に牢屋から出る可能性を奪われてしまったのです。
18:35 あなたがたの一人一人が、心から兄弟を赦さないなら、わたしの天の父もあなたがたに同じようになさるであろう。」
>>>このたとえこそ、7の70倍するまで赦しなさいと主イエスが言われる根拠です。
分かち合いのポイント
・私たちは神から赦されていることの意味、その大きさを正しく理解しているでしょうか。もし、たとえに登場する家来のように、その恵みを正しく理解し、実践しないならば、私たちの未来はどうなるのでしょうか。