いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ。
ルカによる福音書2章14節
主イエスが誕生した時代は、イスラエルを含む周辺世界がローマ帝国の軍事力によって支配され、「ローマの平和」と呼ばれていた。今日も、軍事力が国と国民を守るのであって、軍事力の放棄は不利であるという考えが、世界にまかり通っている。このような人間不信に基づく政策や軍事力の行使が続くかぎり、この地に平和が来ることはないであろう。
このような世界に、神の御子が貧しさに身を包んで誕生した。この方の誕生はローマ帝国が支配する世界において、目立たない隠された出来事であった。この方は敵対する人々を天の軍勢によって滅ぼすような力を現わすことなく死んだ。神は、神に敵対する人間の罪を裁いて滅ぼすのでなく、御子によってその罪を赦すという並々ならぬ決意と愛とを示された。このゆえに、だれでも罪の赦しを願えば、神は赦してくださる。赦されて神と結ばれる時、神の平和が支配する。
神に赦された者は人を赦す者に、神と和解した者は人と和解する者に変えられてゆく。自分を正当化するのでなく、罪を告白して、他者に赦しと和解を願う者となる。力で身を守る道ではなく、主イエスに従い、自分の命を捨てる道を選ぶ。こうして、神は主イエスによって神の民を起こし、「武力によらず、権力によらず、ただわが霊によって」(ゼカリア4:6)、この地に神の平和を実現する。神の平和は、主イエスの誕生が小さな隠された出来事であるように、今は小さく隠されている。しかし、主の誕生に秘められた神の救いの計画を知る者は、み使いと共に、「神に栄光あれ」とほめたたえる。
著者:内藤淳一郎 (1999年〜2014年 当教会主任牧師)
2020年にクリスチャンプレスに掲載されたご本人のインタビューを下記のリンクよりお読みいただけます。 https://christianpress.jp/naitou-junichiro/
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この朗読は『一日の発見 365日の黙想』の著者、内藤淳一郎氏の許可を得て、日本バプテスト連盟西川口キリスト教会が作成し毎日発信しております。