あなたがたに対して、神が抱いておられる熱い思いをわたしも抱いています。
コリントの信徒への手紙二 11章2節
コリント教会に入って来た伝道者たちは、パウロの外見の弱々しさや説教のつまらなさをさして、パウロは使徒としての霊的な力を持っていないと中傷した。彼らは雄弁さや力強さを霊的な力として誇っていたようである。このような伝道者に魅せられる信徒たちもいて、教会に分派が生じた。パウロは教会を破壊する伝道者を「偽使徒」(13節)と言う。信徒たちをキリストでなく自分に結びつけるからである。
パウロはコリントの信徒たちに向かって、彼らを花婿キリストと婚約させた介添人として、彼らが「キリストに対する真心と純潔とからそれてしまうのではないか」(3節)と心配を述べる。信徒は婚約という形でキリストと結ばれた者であり、終わりの日、結婚という形で結ばれるまで、キリストと誠実に向き合い、純潔を守らなければならない。ところが今、信徒たちは偽使徒にあざむかれて、キリストだけを愛する信仰を失いかけている。そして、偽使徒の言うなりになって、パウロが「神の福音を無報酬で告げ知らせた」(7節)ことさえ、使徒ではないからだ、教会を愛していないからだと言う。ここまで言われたら、パウロのほうから見切りをつけてもよいはずである。しかし、彼は何度も手紙を書き、自分の足を運び、同労者を送ってかかわり続ける。なぜか。パウロの愛をコリントの信徒たちが知らなくても、「神はご存じ」(11節)だからである。今日の聖句が示すように、神がコリントの信徒たちに対して抱いている愛を、パウロも抱いていることを神はご存じである。神が知っているということが、パウロの働きを支えている。
著者:内藤淳一郎 (1999年〜2014年 当教会主任牧師)
2020年にクリスチャンプレスに掲載されたご本人のインタビューを下記のリンクよりお読みいただけます。 https://christianpress.jp/naitou-junichiro/
朗読はすべて教会員によるものです。文章と音声の転用はご遠慮ください。
この朗読は『一日の発見 365日の黙想』の著者、内藤淳一郎氏の許可を得て、日本バプテスト連盟西川口キリスト教会が作成し毎日発信しております。