あなたがたの中には、兄弟を仲裁できるような知恵のある者が、一人もいないのですか。
コリントの信徒への手紙一 6章5節
パウロは、コリント教会に信徒同士の争いがあり、世の裁判に訴えるようなことが起こっていると聞いて、今日の聖句で語りかけた。彼は主にある兄弟を世の裁判に訴えようとする信徒に、教会こそ世を裁くものであることを知らないのかと言う。このように言うのは、教会こそ世を裁き、また世を救うイエス・キリストがおられるからである。パウロは教会をそのように信じているので、コリント教会がさまざまな問題を抱えていても失望しない。ダメな教会だとも言わない。彼は教会を愛して語りかける。
教会も人間の集団であるかぎりさまざまな問題が起こる。その問題を自分の痛みとして受け止めないで、騒ぎ立てる人が問題である。「知恵のある者」とは、この世の知恵者ではなく、教会を愛する者である。教会の主はキリストであると信じて、問題を教会に与えられた課題として受け止める者である。パウロはコリントの信徒たちがそういう「知恵のある者」であることを期待している。
パウロは争いの当事者たちに、キリスト者同士が争うこと自体、どちらが正しいかに関係なく、すでに敗北であると言う。そして、自分の権利を貫くことよりも、むしろ不義を甘んじて受けるようにと勧める。その理由は、キリスト者は「聖なる者」、神のものとされているからである。汚名をそそぐことは、神に任せるべきである。自分が当事者になると、そうできないという思いが先立つが、自分にはできないから、祈る。神は祈る者に聖霊を与え、御心をなさせてくださる。
著者:内藤淳一郎 (1999年〜2014年 当教会主任牧師)
2020年にクリスチャンプレスに掲載されたご本人のインタビューを下記のリンクよりお読みいただけます。 https://christianpress.jp/naitou-junichiro/
朗読はすべて教会員によるものです。文章と音声の転用はご遠慮ください。
この朗読は『一日の発見 365日の黙想』の著者、内藤淳一郎氏の許可を得て、日本バプテスト連盟西川口キリスト教会が作成し毎日発信しております。