わたしはあなたがたの間で、イエス・キリスト、それも十字架につけられたキリスト以外、何も知るまいと心に決めていた。
コリントの信徒への手紙一 2章2節
パウロは伝道のためにコリントに行った時、「わたしは衰弱していて、恐れに取りつかれ、ひどく不安でした」(3節)と言っている。伝道する者はこのような恐れや不安を経験するであろう。パウロは伝道を前にして恐れと不安に襲われた時、心に決めた二つのことを語る。今日の聖句はその一つである。
伝道とは福音を伝えることである。福音の中心は十字架のキリストである。十字架のキリストを語らないなら、福音を語るとは言えない。キリストの十字架の意味や教義を語ればよいというのではない。十字架につけられたキリストとは、私たちを罪から贖うために死んでくださったキリスト、今も十字架の上から贖いの愛を注いで、私たちのために執り成しておられる生けるキリストである。その愛が私たちに勇気を与える。それゆえに、パウロは行く先で恐れと不安に襲われた時、十字架のキリストだけを仰ぐ決心をした。
伝道する時に、パウロが心に決めたもう一つのことは、「知恵にあふれた言葉によらず、“霊”と力の証明」(4節)によって語ることであった。福音を語る時、知恵が必要でないというのではない。しかし、どんなに知恵にあふれた言葉を語っても、聖霊によらなければ、すなわち、神が語ってくださらなければ、福音は人の魂に伝わらない。聖霊が働く時、福音の宣教を通して人を救い、人を新たに生かす神の力が現われる。伝道において神の霊と力が証明される。ゆえに、伝道する者は聖霊の導きを祈りつつ福音を語り、あとは神に委ねて御業を待てばよい。
著者:内藤淳一郎 (1999年〜2014年 当教会主任牧師)
2020年にクリスチャンプレスに掲載されたご本人のインタビューを下記のリンクよりお読みいただけます。 https://christianpress.jp/naitou-junichiro/
朗読はすべて教会員によるものです。文章と音声の転用はご遠慮ください。
この朗読は『一日の発見 365日の黙想』の著者、内藤淳一郎氏の許可を得て、日本バプテスト連盟西川口キリスト教会が作成し毎日発信しております。