あなたがたにぜひ会いたいのは、“霊〟の賜物をいくらかでも分け与えて、力になりたいからです。
ローマの信徒への手紙1章11節
この言葉は、パウロがローマの兄姉たちに会いたいと願っている理由である。霊の賜物とは、御霊なる神がキリスト者に与えてくださる恵みである。ある人には知恵の言葉、ある人には奇跡を行う力、ある人には預言する力など、各々に与えられる霊の賜物は違うが、「一人一人に”霊〟の働きが現れるのは、全体の益となるため」である(Iコリント12:7)。すなわち、キリスト者に与えられる霊の賜物は、互いに分かち合われ、結び合わされて、教会の宣教に用いられる。それゆえに、パウロはローマに行って、自分に与えられた霊の賜物を兄姉たちと分かち合うことにより、ローマの教会の宣教が強められることを願うのである。
パウロは自分の能力や人間的魅力を発揮して、兄姉たちの力になろうというのではない。また、格調のある説教で兄姉たちを励まそうというのでもない。そういう期待でパウロが迎えられるならば、その人たちは失望するであろう。パウロが分かち合いたいイエス・キリストの恵みとは、パウロの弱さの中でこそ与えられたものである。「主は、『わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ』と言われました。だから、キリストの力がわたしの内に宿るように、むしろ喜んで自分の弱さを誇りましょう」(Ⅱコリント12:9)。パウロは罪と弱さと限界を持っている人間であるにもかかわらず、彼を愛し、支え、そのような彼を用いられるキリストの恵みを語り、分かち合うことによって、兄弟姉妹を励ます。教会はこのキリストの恵みを分かち合う交わりである。
著者:内藤淳一郎 (1999年〜2014年 当教会主任牧師)
2020年にクリスチャンプレスに掲載されたご本人のインタビューを下記のリンクよりお読みいただけます。 https://christianpress.jp/naitou-junichiro/
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この朗読は『一日の発見 365日の黙想』の著者、内藤淳一郎氏の許可を得て、日本バプテスト連盟西川口キリスト教会が作成し毎日発信しております。