剣を取る者は皆、剣で滅びる。
マタイによる福音書26章52節
主イエスの弟子であったユダが、剣や棒を持つ群衆の先頭に立って、主に近づいた。そして、彼の接吻を合図に、群衆は主イエスに手をかけて捕縛した。これに対抗して、弟子の一人が剣を抜いて打ちかかった時、主イエスは「剣をさやに納めなさい」と言って、今日の聖句を語った。剣を取って正義を貫く方法は、真の解決をもたらさない。主イエスは悪に報復して人の血を流す道ではなく、ご自分の血を流す十字架の道を歩まれた。この主イエスの姿に、悪を悪として裁く神の峻厳と、力に縛られた不自由な人間を解放する神の慈愛がある。「神の慈愛と峻厳とを見よ」(ローマ11:22)。しかし、神の御子イエスにとっても、この地上では、「父よ、御心がなりますように」という祈りなしには、十字架の道を歩むことが出来なかったことを、私たちは知らなければならない。
今日の聖句は、ご自分が歩んだ道に私たちを招く主イエスの言葉である。L・キング牧師は主イエスの道を歩んだキリスト者の一人であった。彼は自宅に爆弾を投げ込まれた時、集まって来て激昂する黒人の支持者たちに、「慌てないようにしましょう。武器を持っているなら、家に帰りなさい。……僕らは暴力による報復によって、この問題を解決する事は出来ません。暴力に対しては、非暴力を持って応えなければなりません。『剣を取る者は皆、剣で滅びる』というイエスの言葉を思い出してください」と語りかけた。「わたしの言葉に留まるならば、あなたたちは本当にわたしの弟子である。あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」(ヨハネ8:31~32)。
著者:内藤淳一郎 (1999年〜2014年 当教会主任牧師)
2020年にクリスチャンプレスに掲載されたご本人のインタビューを下記のリンクよりお読みいただけます。 https://christianpress.jp/naitou-junichiro/
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この朗読は『一日の発見 365日の黙想』の著者、内藤淳一郎氏の許可を得て、日本バプテスト連盟西川口キリスト教会が作成し毎日発信しております。