わたしたちを誘惑に遭わせず、悪い者から救ってください。
マタイによる福音書6章13節
今日の聖句の「誘惑」は、人を神に背かせ、その罪によって死に至らせる悪魔の誘惑である。ゆえに、「悪い事(災難)から守ってください」ではなく、「悪い者(悪魔)から守ってください」と祈る。悪魔は蛇のようにぬっと出てきて、人間に神の言葉を疑わせ、神なしに善悪の最終判断ができるという傲慢な思いを持たせる悪い者である(創世記3章)。悪魔に誘惑された人間は、名誉や富という「いちじくの葉」で身をまとうようになった。しかし、人間の魂はこれによっては満たされない。神に背いた人間は、神の目には死んだ者である。
悪魔は存在しないと言う人は、悪魔の手中に陥っている。「我々(悪魔)の最後の方策は、差し当たって自分たちの存在を隠しておくことである」(C・S・ルイス『悪魔の手紙』)。悪魔の誘惑から逃れる方法は、私たちを取り返すために、御子を世に遣わした神に目を向けることである。「彼ら(人間)が敵(神)に目を向けている時は、我々(悪魔)の負けである。しかし、そうさせない方法がある。一番簡単な方法は彼(神)を見つめさせず、人を見つめさせることである」(前掲書)。
私たちが悪魔に勝つ生活をするためには、絶えず神に祈ることである。「一番いい事は、できれば患者(人)に真面目に祈ろうとする気持ちを全く持たせないことである」(前掲書)。祈りは誘惑者に対抗する最大の武器である。「主の祈り」の冒頭の言葉は、体のために必要な糧と、魂のために必要な神の赦しに続いて、体にも魂にも必要な神の守りを求める祈りである。神の国に入る最後の日まで、信仰に堅く立ち続けるために、「悪魔から守ってください」と祈るのである。
著者:内藤淳一郎 (1999年〜2014年 当教会主任牧師)
2020年にクリスチャンプレスに掲載されたご本人のインタビューを下記のリンクよりお読みいただけます。 https://christianpress.jp/naitou-junichiro/
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この朗読は『一日の発見 365日の黙想』の著者、内藤淳一郎氏の許可を得て、日本バプテスト連盟西川口キリスト教会が作成し毎日発信しております。