9月6日
主は振り向いてペトロを見つめられた。ペトロは、「今日、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われた主の言葉を思い出した。そして、外に出て、激しく泣いた。
ルカによる福音書22章61~62節
主イエスが捕えられ、曳いて行かれた時、ペトロ は遠くから主のあとについて行った。そして、裁判が行われる大祭司の家の中庭にまぎれ込み、火をたいて座っている人々の中に腰を下ろした。彼は主イエスの最後の行動に期待していた。
その時、ひとりの女がペトロを見て「この人も一緒にいました」と言った。不意を突かれて、ペトロは「わたしはあの人を知らない」と打ち消した。他の人にも追求されたが、ペトロは主イエスとの関係を否定した。一時間ほどして、別の人からも詰め寄られ、ペトロが「あなたの言うことは分からない」(60節)と言い終わらないうちに、突然鶏が鳴いた。その時、主は振り向いてペトロを見つめられた。今日の聖句は、その時のペトロの反応を語る。彼が激しく泣いたのは、主の惨めな姿を見たからではない。主を裏切っている惨めな自分に気づいたからである。それと同時に、ペトロは主の言葉を思い出し、主が弱い自分を知っていて、「信仰が無くならないように祈った」(22:32)と言われた主の愛に圧倒されて泣いた。
私たちは神に背いている時、必ずしも自分の罪に気づいていない。しかし、ペトロのように、主のまなざしが自分に注がれていると知った時、自分の罪に気づいて泣く他ないのである。そして、まさにそこで、弱さのゆえに罪を犯す私たちを赦し、私たちのために祈って、そこから新たに立ち上がらせてくださる主の愛が迫って来る。
著者:内藤淳一郎 (1999年〜2014年 当教会主任牧師)
2020年にクリスチャンプレスに掲載されたご本人のインタビューを下記のリンクよりお読みいただけます。 https://christianpress.jp/naitou-junichiro/
文章と音声の転用はご遠慮ください。朗読はすべて教会員によるものです。
この朗読は『一日の発見 365日の黙想』の著者、内藤淳一郎氏の許可を得て、日本バプテスト連盟西川口キリスト教会が作成し毎日発信しております。