それほど言うなら、よろしい。家に帰りなさい。悪霊はあなたの娘からもう出てしまった。
マルコによる福音書 7章29節
汚れた霊につかれた幼い娘を持つ異邦人の女が、主イエスのもとに来て、ひれ伏し、娘から悪霊を追い出してほしいと願った。「汚れた霊につかれた」とは、人間の手には負えない状態である。重い病気を患って苦しんでいる娘に、なす術が無いのである。
主イエスはこの母親に言った。「まず子供たち(ユダヤ人)に十分食べさせなければならない。子供たちのパンを取って、小犬(異邦人)にやってはいけない」。この拒絶と思える言葉に憤慨して当然なのに、彼女は言った。「主よ、そうです。ただ、食卓の下の小犬も子供のパン屑はいただきます」。彼女は主イエスとのやり取りを通して、主の言葉を謙虚に受け入れた。それが自分には不当でも、神は真実な方であると信じた。だから、彼女は失望しないで、なお自分の願いを訴え続けることができた。神は真実であると信じる者は、望みを失わないで神に祈り続ける。
主イエスは女の言葉を聞いて喜び、今日の聖句を語った。まさに、拒絶と思えた主の言葉は彼女の信仰を試み、確かめ、導くためであった。自分の願いが聞かれさえすれば、相手はどの神でもよいというのは、信仰ではない。彼女は主との対話によって、ご利益信仰ではなく、神を神とする信仰に導かれたのである。彼女が家に帰ると、幼い娘は悪霊から解放されていた。苦悩を背負っていた彼女は、主イエスに出会って救われたのである。主イエスによって神は真実な方であると知り、へりくだって祈る者は、神が祈りに応えてくださる時、それを当然のこととしてではなく、神の恵みであると知って感謝し、神を礼拝する人生を始めるであろう。
著者:内藤淳一郎 (1999年〜2014年 当教会主任牧師)
2020年にクリスチャンプレスに掲載されたご本人のインタビューを下記のリンクよりお読みいただけます。 https://christianpress.jp/naitou-junichiro/
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この朗読は『一日の発見 365日の黙想』の著者、内藤淳一郎氏の許可を得て、日本バプテスト連盟西川口キリスト教会が作成し毎日発信しております。