9月29日
使徒言行録15章11節
パウロやバルナバは、人は主イエスによる罪の贖いを信じて救われると教えていたが、あるユダヤ人信徒たちが各地の教会を回り、異邦人信徒に「割礼を受けなければ、あなたがたは救われない」と教えた。このため、両者の間に激しい意見の対立と論争が生じた。主イエスの救いは何かという福音理解をめぐって、初代教会は分裂の危機に直面したのである。この問題について協議するために、使徒や長老たちがエルサレムに集まり、会議を開いた。議論が重ねられた後、パウロたちによる異邦人伝道の報告を踏まえて、ペトロが今日の聖句を語った。これにエルサレム教会の指導者ヤコブも同意の意見を述べ、一応の結論が出た。すなわち、「神に立ち帰る異邦人」(19節)に割礼は不要であること、ただ偶像に供える肉と不品行を避ける律法は大事であるとした。
ただし、これで問題は解決せず、その後もパウロたちは異邦人に律法を強いるユダヤ主義的信徒に悩まされた。教会の宣教をどのように誰が担うかという方策や運営は、選択の問題であって、絶対的ではない。しかし、救いにかかわる福音理解はどちらでもよいというわけにはゆかない。だから、論争があり、分裂があるのもやむをえない。ただし、真理の問題とは言え、真理を受け取る私たちは絶対ではないのであるから、先入観に捉われず、他者の主張をよく聞き、聖書を通して検討し続ける姿勢が大切である。私たちはとかく、主張を異にする他者の人格まで否定するが、はたして主を喜ばせることか反省したい。
著者:内藤淳一郎 (1999年〜2014年 当教会主任牧師)
2020年にクリスチャンプレスに掲載されたご本人のインタビューを下記のリンクよりお読みいただけます。 https://christianpress.jp/naitou-junichiro/
朗読はすべて教会員によるものです。文章と音声の転用はご遠慮ください。
この朗読は『一日の発見 365日の黙想』の著者、内藤淳一郎氏の許可を得て、日本バプテスト連盟西川口キリスト教会が作成し毎日発信しております。