西川口キリスト教会 髙松 隆幸
昼の十二時になると、全地は暗くなり、それが三時まで続いた。三時にイエスは大声で叫ばれた。「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ。」これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
マルコによる福音書15章33~34節
これはイエスが十字架上で最後に叫んだ詩編22編の悲しみの訴えです。しかし、この詩編はやがて神の賛美に変わっていくことをユダヤ人たちは知っていました。イエスが神に遣わされ、人々の救いのために十字架に架けられてもなお、「この人たちは何をしようとしているかわからないのです。どうぞ彼らをお許しください。」と祈るイエスの姿を弟子たちは知り、一つは詩編を通して神への絶対的な信頼と賛美を、今一つは自分を苦しめた人々に対する神への赦しの言葉が如何に人智を超えた救いの成就の言葉であるかに衝撃を受け、神のひとり子イエスに従っていく信仰的事実を確信したと思います。
コロナ・ウィルスの世界的蔓延という困難の状況のなか、わたしたちは多くのことに恐れ・悩み、やみくもに正しい答えを得ようと溢れる情報に翻弄させられています。こうした状況のなか色々考えを思い巡らせていくと、結局私たちはひとりでは生きていけないものであることがわかります。自分一人が良ければという考えは、結局は自分のみならず、自然を含む他者をも滅ぼしてしまうことに繋がります。自分を愛するように他人を愛しなさい。常に弱い人に寄り添い、慰め支え、その苦しみをともに分かち合う心を持ちましょう。弱さの中にこそ強さは与えられます。艱難は忍耐を、忍耐は希望を与えてくれます。コロナ感染の終息が見られないなかにあっても、わたしたち一人一人は主によって生かされていることを覚え、お互いに支え合い、助け合ってインマヌエルの神のもと希望を持って歩んでいくものでありたいと心から願っています。
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