西川口キリスト教会 斎藤剛毅
「母マリアはヨセフと婚約していたが、二人が一緒になる前に、聖霊によって身ごもっていることが明らかになった。」
マタイによる福音書1章18節
キリスト降誕の物語を注意深く読むと、ヨセフの苦悩を読み取ることが出来ます。結婚前にマリアが妊娠したことを聞かされ、ヨセフは苦悩の闇を体験します。夢の中で神の深いご計画を聞かされて信じ、結婚し、マリアを人々の批判と裁きから救い、イエス誕生後エジプトに逃れ、新約聖書における難民第一号としての苦しみをも味わいます。ヘロデ王の死後にナザレに戻り、イエスの成長をみまもり、やがて表舞台から姿を消してゆくのですが、その目立たない生涯を通して、イエス・キリストに仕えたのです。ヨセフの偉さは、祈り抜いてマリアを妻として受け入れ、自分と同じように今後、親戚筋から疎まれ、冷たくあしらわれるだろう苦しみをマリアと共に苦しみ、苦難を共に担う決心をして生き、マリアへの愛を全うしたことです
人生の途上で訪れる数々の苦しみ、時には不条理とみなされる苦しみと試練とによって、私たちの信仰は鍛えられてゆきます。試練の背後にある、父なる神様の愛のまなざしを信じ、受け入れられる人は幸いです。人となられた神の御子キリストご自身も、罪深い人間社会の中で大きな苦しみを味わい、最後に十字架上で想像を絶する痛みを体験され、人類の犯し続けた罪の罰を人類に代ってご自身の身に受け、人類の罪を贖うという地上での大使命を全うされてお亡くなりになりました。そして、死を打ち破って復活なさり、天国にお帰りになったのです。
私たちが聖書を通して教えられることは、人類の罪がキリストの十字架上で完全に裁かれてしまったこと、人類の一人である私もあなたの罪も裁かれてしまっていること、そして、そのことを信じる者はキリストが復活されたように、死後天国に甦る希望が与えられているということです。その恵みの福音をキリストの待降節に知りたいと思います。