西川口キリスト教会 戸田 浩司
同様に、“霊”も弱いわたしたちを助けてくださいます。わたしたちはどう祈るべきかを知りませんが、“霊”自らが、言葉に表せないうめきをもって執り成してくださるからです。人の心を見抜く方は、“霊”の思いが何であるかを知っておられます。“霊”は、神の御心に従って、聖なる者たちのために執り成してくださるからです。
ローマの信徒への手紙8章26-27節
この手紙の筆者パウロは、かつては熱心なユダヤ教の信徒でキリスト教徒を迫害していましたが、ダマスコに向かう途上で突然の光が彼の周りを照らし、地に倒されました。そのとき「起き上がって町に入りなさい。そうすればあなたのなすべきことが知らされる」と呼びかけるイエスの声が聞こえてきました。パウロは起き上がり目を開けましたが何も見えなくなっており、その後三日間は目が見えず食べも飲みもしませんでした。「なすべきこと」とは何か、果たして自分は何をするべきなのか、パウロは目が見えない三日の間思いあぐね、不安の中でうめき苦しんでいたことでしょう。
彼はこの劇的な出来事を通して、イエスは主であると信じバプテスマを受けました。そしてイエスこそ真の救い主であるとの福音を異邦人に伝える働き人へと変えられました。福音を宣教する彼の身の上には大変な苦しみや困難が次々と襲いかかりましたが、「霊が助け、執り成してくださる」(26,27節)という確証は、彼自身の経験を通して与えられたものだったのでしょう。
主イエスを信じる私たちも苦しみ、悩み、不安など、多くの困難の中に生きています。けれども私たちはやがて再び来られるイエス様によって天の御国に入れていただけることをパウロと同様に待ち望んでいます。そのような希望を抱きながらも弱さのゆえにうつむいてしまう私たちを、なおも聖霊は助け、言葉にならないうめきをもって執り成してくださっているのです。