西川口キリスト教会 山中 弘次
「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」ヨハネによる福音書20章27節
イエス様は、十字架の死の3日後の日曜日に復活して、弟子達の前にその姿を現された。しかしこのとき、12人の弟子の一人、トマスはその場にいなかった。弟子達はイエス様の復活を喜び、後でトマスにそのようすを語って聞かせたが、トマスはこれを信じない。「あの方の手に釘の跡を見、この指を釘跡に入れてみなければ、また、この手をそのわき腹に入れてみなければ、わたしは決して信じない。」
次の日曜日、今度はトマスも他の弟子達と一緒にいると、そこにイエス様が再び現れ、「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」とトマスを導かれた。復活されたイエス様に残る傷を目の当たりにしたトマスは、その痛々しい傷が自分の罪を背負って、その贖いのためにつけられた傷であることを知り、心の奥からの叫びをあげる。「わたしの主、わたしの神よ」。トマスが信仰をいただいた瞬間であった。
トマスが抱いた疑いは、人間の理性から出ている。私達は、自分の常識や経験から考えて、納得出来ることでないと信じられない。実社会においては、理性は人間に与えられたとても大事な能力であり、裁判も、科学的研究も、この理性に従って行われなければならない。しかし、信仰の世界、霊の世界では、人間の理解を超えた真理がある、と聖書のこの箇所は教えている。自分の常識に照らして納得できない、理解できない事柄に触れた時、疑問を持ってしまっても構わない。疑問を抱きながら、なお神様の声を求めて祈り、教会に繋がり、「見えないもの」を信じられるように導かれていきたい。