2017年2月26日(日) 礼拝宣教要旨 西川口キリスト教会 斎藤信一郎
主題)「カインの子孫」創世記第4章16-24節
「カインのための復讐が七倍なら/レメクのためには七十七倍。」24節後半
神の御前を自らの意志で去っていくカイン。それでも神は約束通り彼の人生に伴走し、助けて行かれます。カインはアダムとエバの他の子どもと結婚することが許され、子どもや孫が与えられます。長男エノクは、アダムからノアに至る系図に登場するエノクとは別人です。町はこの息子の名前にちなんでエノクと名付けられ、子孫も順調に増えました。6代目のレメクとその子どもたちについて、聖書は特に詳しく語っています。彼はカイン以上に神の御心を理解せず、神の御心に反する生き方を選んで行きます。彼は二人の妻を持ち、神がカインに与えた約束を自分勝手に解釈し、他者から傷を受けた場合には相手を殺し、77倍にして返すと豪語しました。
しかし神は彼と子孫を見守り続けます。レメクの息子ヤバルは人や動物を巧みに用いて家畜を飼う経営者になり、植物や動物を加工して天幕を造る今日で言う建設業の先駆けとなって行きます。ユバルは楽器を奏で、指揮する者の先祖となり、トバル・カインは青銅や鉄でさまざまな道具を作る、いわば家内工業の先祖となります。ここで唐突に妹のナアマが登場しますが、彼女も彼の仕事を手伝い、女が職場で一緒に仕事をしていた可能性が伺えます。過酷な生活環境の中にいたからこそ、優れた集団経営能力やモノづくりの技術が育っていったのかも知れません。このような意味で、カインとその子孫も私たち人類に貢献したと言えるでしょう。
一方で、彼らの生活の根底には復讐という概念が根付いていたことも事実です。すると、優れた集団経営能力やモノづくりの技術が、集団戦術と効果的な武器を使用する戦争に用いられて行ったと考えられます。神が定められた生活基準に背を向けて生きる時、命が軽んじられて行く現実がここでも語られています。しかし、こんな誤りの多い人類に対して神はイエス・キリストを遣わされました。主イエスは77倍の復讐どころか、逆に、「7の70倍(際限なく、の意)までも人を赦しなさい」(マタイ書18:22)とペトロに答えられました。その上で、私たちを悔い改めへと導いておられる救い主です。このお方に従い、人を生かす人生にあなたも招かれています。