あなたがたも聞いているとおり、「目には目を、歯には歯を」と命じられている
マタイによる福音書5章38節 宣教:高松隆幸
今回の聖書箇所は、主イエスが行った山上の説教の一部分です。山上の説教は、主イエスが伝道を始められたときに、これからもたらされる新しい掟が語られているものです。
その中で、今回の聖書箇所は、律法で語られる報復と謝罪に対する主イエスの考えが述べられています。そこでは、律法の精神とそれを完成させる神の義についての教えが語られています。
律法は、モーセの十戒を中心とした神の民の生活と行為に関する神の命令であり、主イエスはこれに背かないことを求めています。
しかし、例えをあげて、律法の精神を守りつつも、更にこれを一段と高め、神の義に導く道を諭されています。それが、マタイ福音書5章38節から42節の問い掛けに表わされています。
曰く、「目には目を、歯には…」等々。主イエスは、クリスチャンが常に心に留めておかなければならないのは、
相手の心境に思いを巡らすことなく、ただ単に謝罪さえすれば問題は解決されるのか。律法に定められた償いさえすれば、罪は許されるのか。との問題提起をしています。
自分の主義主張のみを押し通すことなく、人に奉仕することを義務以上のものと考えることが大切であると教え導いています。
今回の聖書箇所を通して、私たちは何を受け止めるべきでしょうか。律法においては、それを守ることが求められ、それに従わず、それに背く時には、謝罪と賠償が求められました。
これに対し、主イエスはその教えを超え、律法を完成するためにこの世に来られたといわれます。
私たちは、主イエスの贖いの十字架と、復活を通して神の愛と真実に生かされ、自己本位の罪から解放され、他者を裁くのではなく、他者を愛する者へと変えられます。
ここに、主イエスが言われる、「律法や預言者を廃止するのではなく、完成するため」にこの世に来られた真の目的がある事を心に留めましょう。