「信仰の品格」
「信仰の品格」とは、どんなイメージなのでしょうか。毎週礼拝に出席し、教会の奉仕を担い、日々聖書を読み、祈りのときをもつ。そのような信仰の姿も必要でしょうが、何よりもこの時代を生き抜いていける資質をもつことが大切ではないかと思います。その資質とは、預言者的な「感受性」、祭司的な「包容性」、知者的な「知性」であると思います。
まず、預言者的な「感受性」とは、この世のあらゆる不義と不公平に対して憤りを覚え、それらに抵抗することです。更に、暗澹たる思いや絶望感に襲われている状況においても、劇的な「神の介入」を想像し、希望を見出すことです。また、祭司的な「包容性」とは、この世に耽溺し神に逆らう人たちを、一方的に裁かず否定せず、彼らと自分を同一視し、神との和解を促すことです。また様々な差別にさらされている社会的弱者、移民や居場所を失った周辺人に関心を持ち、配慮することです。そして、知者的な「知性」とは、神の言葉に基づき、この「時代」と、この時代を動かしている「時代精神」を的確に読み取ることです。更に、自分の信仰や主義を絶対化せず、開かれた心で、批判的に「自己省察」を続けることです。
言い換えれば、この時代を生き抜いていける資質とは、変わりつつある現実において、神、世界、教会、また人間について、この時代にふさわしく、的確に考え、実践につなげることができることです。そのために平凡な生活の出来事から、政治、経済、社会、文化、歴史の行方まで、信仰の事柄として受け止めて、自ら考え自分なりの答えを見出す。その答えを「生の全領域において」生かしていこうとする、それこそ「信仰の品格」を培っていくことなのです。