斎藤 信一郎 牧師
これは万民のために整えてくださった救いで、
異邦人を照らす啓示の光、 /あなたの民イスラエルの誉れです。ルカによる福音書2章 31-32節
聖書の預言を信じ、神の約束が成就するために忍耐強く祈り続けることが人生の使命と受け止めていた老人シメオン。ついに、その願いが叶う日が訪れます。聖霊の導きで神殿に行き、その願いを将来実現することになる幼子の主イエスとその両親に出会います。シメオンは幼子を抱かせてもらい、祝福の祈りを始めると、聖霊に満たされて本人が考えてもみなかったような幼子の将来についての預言をしはじめます。神が聖書を通して預言していた救い主とは、イスラエルの国民を救うというよりも、全世界の人々に神のみ言葉による救いをもたらしていくようなお方であること。しかも、その使命を果たすための道のりは険しく、多くの人から尊敬される一方、多くの人から敵視されること。そして将来、母親のマリアは心臓を刺し貫かれるような出来事を経験しなければならない時が来ることを預言したのです。主イエス・キリストが直面することになる十字架刑をほのめかしているような預言でした。どんなにヨセフとマリアはこの老人の預言を聞いて驚いたことでしょうか。
シメオンは、「これでいつ死んでもいい」と思ったのもつかの間で、与えられている聖書の預言の成就のための執り成しの祈りが、今後もどれほど重要なのか、改めて理解したことでしょう。そして、主イエス・キリストのためにその後も命の限り執り成し祈り続けたことでしょう。
聖書を通して神のみ言葉に忠実に従って歩む者は、イエス・キリストを模範に人生の最後の最後まで人々の救いと幸福のために生き、執り成し祈ることを導かれています。クリスチャンに余生はないのです。人生最後の瞬間まで神と人を愛し、仕えて生きることができるのです。その希望の源である救い主の誕生を心から共に喜び、分かち合って参りましょう。
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