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主日礼拝宣教要旨

「愛で結ばれて」朴 思郁 牧師

2025年2月2日(日)
主日礼拝 宣教要旨
聖書箇所 ヨハネの手紙一 4章11-12節

「いまだかつて神を見た者はいません。わたしたちが互いに愛し合うならば、神はわたしたちの内にとどまってくださり、神の愛がわたしたちの内で全うされているのです。」

ヨハネの手紙一 4章12節

 エーリッヒ・フロムは、著書『愛するということ』において、愛は単なる感情ではなく、学びと訓練によって育む「技術」であり、個人的な経験だけでなく社会全体の課題であると説いています。愛は偶然に生じるものではなく、自己を開き相手に与える行為を通じて深まるものであり、消費文化が推奨する「快楽」や「所有」とは一線を画すと主張します。この考え方は、持続的で深い人間関係の構築や、聖書の教えと共鳴する部分を含んでおり、愛を日々の実践で育む重要性を示唆しています。
 聖書もまた、愛は感情や理念に留まらず、具体的な行動で示されるべきだと強調しています。たとえば、最後の晩餐でイエスは自らの上着を脱いで弟子たちの足を洗い(ヨハネ13:3–5)、仕える愛の模範を示しました。これにより「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」(ヨハネ13:34)と命じ、また「偉くなりたい者は、すべての人に仕える者になりなさい」(マルコ10:43–45)という教えを体現しました。
 さらに、旧約聖書のルツ記では、ルツが姑ナオミに対して「あなたの行かれる所に行き、あなたの民となる」(ルツ1:16–17)と誓い、血縁を超えた献身と自己犠牲の愛を示すことで、後のダビデ王やメシア・イエス・キリストへとつながる神の救いの歴史の一歩を担いました。これらの物語は、愛が言葉だけでなく、自己を低くし他者に尽くす具体的な奉仕と行動によって育まれるべきであることを伝えています。
 一方、現代社会においては、教会共同体が異なる世代の信仰表現を内包する独特な場となっています。年長世代は、伝統的な賛美歌や礼拝形式、儀式といった長年の霊的遺産を重視し、信仰の継続性を守ろうとする一方、若い世代はSNSやオンライン礼拝、参加型の対話型聖書研究などを通じ、より実践的かつ開かれた信仰の在り方を模索します。一見するとこれらの価値観の違いは衝突を生むように見えますが、カール・マンハイムの世代論が示すように、各世代は異なる歴史的・社会的経験を背景にしており、その違いを相互理解の機会として捉えることが可能です。
 聖書(ヨハネの手紙一4:12)も、互いに愛し合うことによって神の臨在が我々の内に全うされると教えており、実際、ヤコブの手紙1章19節の「聞くのに早く、話すのに遅く」という教えに基づき、まず相手の声に謙虚に耳を傾ける姿勢が求められます。こうした「聴くこと」を通じた相互理解こそが、世代間の尊敬と信頼の土台となり、互いの物語を受け入れることで真の愛が育まれ、教会共同体の成長と神の愛の実現につながるのです。

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