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主日礼拝宣教要旨

「癒しの御手に触れる」朴 思郁 牧師

2024年8月4日(日) 主日礼拝 宣教要旨

 

「イエスは振り向いて、彼女を見ながら言われた。『娘よ、元気になりなさい。あなたの信仰があなたを救った。』そのとき、彼女は治った。」

マタイによる福音書 9章22節


 人間の本当の生き方は、肉体的健康、社会的つながり、霊的充実を求めるものであり、単なる生物学的存在を超えています。しかし、現代社会ではこの調和が欠けています。ギリシャ語の「ゾエー」(生命)と「ビオス」(生活様式)の概念は、この調和を理解する鍵です。哲学者ジョルジョ・アガンベンは「ホモ・サケル」という、社会から追放され法的保護を受けない存在を通じて人間の現状を分析しました。彼らは生物学的な生命(ゾエー)は持っていても、社会的な存在価値(ビオス)を失った「ヌーダ・ヴィータ(裸の命)」の状態にあります。現代でも難民や無国籍者が同様の境遇に置かれています。
 このような問題に対し、神の愛と癒しを通じて心身の調和を取り戻す必要があります。聖書箇所に登場する12年間出血が続いた女性や指導者の娘は、「ホモ・サケル」のような存在でした。イエスの癒しにより、彼女たちは社会的にも回復されました。出血が続いた女性は「汚れた者」と見なされ、社会から隔絶されていましたが、イエスの服に触れて癒されました。イエスは「娘よ、あなたの信仰があなたを救った」と宣言し、彼女は病気から解放され、社会的にも回復されました。この奇跡は、イエスがホリスティックな救いをもたらす救い主であることを示しています。
 次に、生物学的な生命の回復について考えます。指導者の娘が死んだとき、イエスは「タリタ、クム」(「少女よ、起きなさい」)と言って彼女を生き返らせました。この奇跡は、イエスが生物学的な命を回復させる力を持っていることを示しています。イエスは希望を失った人々に信仰と勇気を与え、死が最終的なものではないことを示しました。イエスの癒しの力は、単なる肉体的な回復にとどまりません。12年間出血が続いた女性と指導者の娘は、社会的、霊的な生命も回復されました。
 イエスは全人格的な調和「シャローム」を実現してくださる救い主です。シャロームは平和や安寧だけでなく、神が望む身体的、社会的、霊的な調和と繁栄を意味します。イエスは身体的健康、社会的和解、霊的充実をもたらし、全存在を完全に癒してくださいます。私たちもイエスの癒しの御手に触れ、信仰を持ってシャロームを体験したいと願っています。

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