2023年6月18日(日) 礼拝宣教要旨
聖書箇所:マタイによる福音書23章1-12節
「あなたがたのうちでいちばん偉い人は、仕える者になりなさい。だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」
マタイによる福音書23章11,12節
本日は、マタイによる福音書23章1節から12節に記されたイエスの教えを通して、現代を生きる「信仰者の道しるべ」についてご一緒に考えてみたいと願っています。イエスの教えは、当時の宗教指導者たちとの対立を通じて示されました。彼らとの対立は教義の相違だけでなく、権力闘争や社会的・文化的な背景によっても引き起こされました。
まず、イエスは宗教指導者たちの「偽善と表面的な信仰」について指摘しました。彼らは外見上は神聖な行為や教えを守っているように見せかけながら、内面的には実行しない偽善者でした。次に、イエスは宗教指導者たちの「権力と優越への執着」について警告しました。当時の社会では、宗教的な地位や権力が重要視され、公的な場での座り方や挨拶の仕方がその人の社会的地位を示す象徴的な行為でした。さらに、イエスは宗教指導者たちの「律法主義と重荷」についても言及しました。彼らは律法の遵守を厳格に求め、他の人々にも同様の律法を課す傾向がありました。
イエスが示した信仰者の姿は、謙虚さと愛の実践、真実と公正さの追求、そして優しさと癒しの力に焦点を当てています。謙虚さと愛の実践について、イエスは「だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる」と教えました。イエスは偽善や見せかけの信仰を嘆き、真の信仰は謙虚さと他者への奉仕に基づくものであると説きました。また、真実と公正さの追求については、「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない」と言われました。イエスは権力や偏見に染まった宗教指導者たちに対して警告し、真実を求め、公正な判断を下すことの重要性を説きました。さらに、優しさと癒しの力については、イエスの働きに示されています。イエスは傷ついた者たちに寄り添い、優しさと思いやりをもって彼女・彼らを癒しました。イエスの教えは、他者を愛し、優しさをもって生きることの重要性を示しています。
現代の日本社会においては、制度化された宗教よりも真の宗教が求められていることを念頭に置きながら、イエスによって示された「信仰者の道しるべ」は、今日を生きる信仰者や教会共同体の姿勢であることを改めて覚えていきたいと思います。私たちはイエスの教えに基づく生き方や価値観を大切にしながら、謙虚さと愛、真実と公正さ、優しさと癒しの力を持って生きることで、信仰者としての歩みを続けたいと心から願います。