西川口キリスト教会 朴 思郁 協力牧師
神は彼らを祝福して言われた。『産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。』神は言われた。「見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。
創世記1章28、29節
8月を迎えて、信仰者として平和を考える際に、私たちは聖書の物語から平和について考えることが大切であると思います。本日は、創世記を通して、神が望んでおられる世界秩序から平和に関する大切な教えをご一緒に考えることができればと願います。
特に、創造の第六の日に、神は人間とすべての動物に食物として青草を与えられました。人間と動物が、種のある青草と果物を食べ物とする間、そこには何の欠乏もありません。そこには、食べ物を巡る如何なる争いもありませんでした。創造の神の御心が成し遂げられる素晴らしい秩序であり、素敵な命の共同体になります。地球という食卓を囲む共同体、それは平和の共同体でした。その共同体は、他ならぬ平和を意味するシャロームの共同体です。平和を意味するシャロームとは、神の思いのままになされている状態を言います。
ところが狩猟時代と農耕時代を経て、人間は他の部族を競争の相手として、敵として見なすようになりました。そして集団の間に熾烈な生存競争が、奪うか奪われるかというゼロサムゲームの関係に変えられました。そして部族と部族の間だけではなく、同じ部族の中にも、他の人々の生命を支配し、他人の所有を力で奪い取ることが絶え間なく起こることになりました。そこには、抑圧と搾取によって、力を増していくこともあり、ついに部族の中でも平和も保つことができなくなりました。
聖書の預言者たちは、乱れている創造の秩序を憂えている創造主の御心を伝えるために遣わされました。その代表的な預言者としてイザヤの言葉(イザヤ11:6-10)に耳を傾けることができればと思います。獅子が牛と共にエサを分け合うという光景に示されていることは、今の状況がどんなに厳しくても、必ず平和の共同体になるという終末論的な希望が与えられているのです。聖書を通して改めて教えられるのは、私たちは、被造物と共に生きるように神に遣わされた立場であるということなのです。
再び緊急事態宣言が発令されている中、改めて創造の物語に耳を傾けたいと思います。何よりも私たちは神によって造られた存在であるということを覚えればと思います。要するに、私たちが創造の物語から教えられるのは、人間の思うままに、勝手に使っても良いのではなく、すべての存在を尊重しながら、共に生きるという認識を共有することができればと願います。それこそが、平和の源である神が造られた創造から教えられる最も大切な教えであると思います。アイキャッチ画像