西川口キリスト教会 戸田 浩司
「わたしはあなたのために、信仰が無くならないように祈った。だから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」
ルカによる福音書22章32節
サタンの試みによってシモン・ペトロの信仰が無くならないようにと、イエス様は執り成しの祈りを神に祈られ、「立ち直ったら兄弟たちを力づけてやりなさい」とペトロを励まします。「立ち直ったら」とはペトロが一旦は信仰を失い、躓き倒れる、ということを想像させます。実際にこの後、ペトロはイエス様を拒絶し信仰を失うこととなります。しかしそんなペトロは、イエス様が天に昇られた後では、まるで別人のように力強く信仰を証しする者へと変えられていきます。ペトロはイエス様の励ましに応え兄弟たちを力づけながら、文字通り命がけの宣教活動を貫き通しました。
スコットランドの神学者で牧師のウィリアム・バークレー(William Barclay)は次のように言っています。
「あたかもイエスはペテロにこう言っているかのようだ。『あなたは私を否むだろう。あなたは慟哭するだろう。しかしそれを体験したあなたは同じ悲しみを味わっている兄弟たちを助けてやることができるだろう』と。人と同じ苦悶を味わい、同じ恥の深みにはまり込んだ者でなければ、その人たちを真に助けることはできない。」ヘブライ人への手紙2章18節ではイエスについてこう言われている(口語訳)。『主ご自身、試練を受けて苦しまれたからこそ、試練の中にある者たちを助けることができるのである。』」(バークレー (1970). ルカ福音書 ヨルダン社)
イエス様は現代に生きるわたしたちに対しても「あなたのために信仰が無くならないように祈った」と呼びかけてくださっています。ありのままの姿を受け入れてくださっているイエス様の赦しを受け続けなさいと、イエス様は私たちに求めておられるのではないでしょうか。ですから、わたしたちがどんなに躓き、失敗しても、昨日も今日も永遠に変わらないイエス様の赦しと執り成しの祈りによって支えられ、何度でも立ち直ることが許されているこの幸いを共に感謝したいのです。
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