斎藤 信一郎 牧師
そのとき、エルサレムにシメオンという人がいた。この人は正しい人で信仰があつく、イスラエルの慰められるのを待ち望み、聖霊が彼にとどまっていた。 そして、主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない、とのお告げを聖霊から受けていた。
マタイによる福音書2章25-26節
主イエスが生まれた時代、聖書の掟に従って行う儀式がいくつも存在しました。生後8日目に男児は神殿で割礼を受けました。そして、その日に名前も公表されました。長男誕生の時には生後31日目にあがないの儀式が行われました。また、男児は生後40日目、女児は80日目に産後の清めの儀式が行われました。これらの儀式の際には、小羊を焼き尽くして献げることと、鳩を献げることが規定されていました(レビ記12章参照)。掟に従い、主イエスの両親は神殿に親子三人で出かけました。ただし、当時は小羊を手に入れることができるほど、家計に余裕のない人々も大勢いました。そのような人々は小羊の代わりに別にもう一羽の鳩を献げることが許されていました。主イエスの両親であるヨセフとマリアもそれに従ったのです。
この時、やがて全人類のメシアとなられる赤ん坊と出会うために、シメオンという高齢者が聖霊に導かれて神殿にやって参りました。彼はイスラエルの民のために長年執り成し祈り続けて来た人物でした。本当は、今にも活動を開始する救い主との出会いをシメオンは待ち望んでいたかも知れません。しかし、神が導かれたのは赤ん坊のメシアとの出会いでした。
先週12月4日(水)、アフガニスタン政府、また日本国民にもその人道支援活動が認められていた中村哲氏がテロに遭い、天に召されました。中村氏は私たちと同じ日本バプテスト連盟の香住ヶ丘教会(福岡市)で中学生の時にバプテスマを受けています。当時牧師だった目の障がいを負っていた藤井健児牧師の薫陶を受け、医学への道へ進み、その後長年にわたってパキスタン、そしてアフガニスタンにおいて、貧しく、厳しい生活を強いられている人々のために人生を献げて来られました。
主イエスが生まれた当時も、現代にも、主イエスとの出会いを与えられ、長年神のみ言葉に導かれて忠実に歩み続けた人々がいます。私たちもそれに続く者たちでありたいと願わされます。
アイキャッチ画像 thanks!! to Willfried WendeによるPixabay