斎藤 信一郎 牧師
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に聖書地図で確認し、違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟から発行されています。詳細は下記のURLでご照会下さい。
http://www.bapren.com/index.html (『聖書教育』ホームページ)
この誌面の終了のお知らせ(次回より) |
これまで多くの方にご支持をいただきながら、聖書教育誌と教会学校の学びをサポートするものとして本誌面を執筆して参りましたが、今回を最後にさせていただくことになりました。この誌面について、これまでお寄せいただいた多くの方の励ましの言葉やご意見がどれほど励みになり、参考になったことでしょうか。お礼方、お知らせ致します。
◆黙想のポイント
今回の箇所は前回の続きです。ユダの必死の嘆願にヨセフはもはや平静を装うことができなくなり、兄弟たちに自分の身を明かします。神が導こうとされた人の内面における和解と救いに注目しながら読みましょう。
◆ヨセフ、身を明かす
45:1 ヨセフは、そばで仕えている者の前で、もはや平静を装っていることができなくなり、「みんな、ここから出て行ってくれ」と叫んだ。だれもそばにいなくなってから、ヨセフは兄弟たちに自分の身を明かした。 45:2 ヨセフは、声をあげて泣いたので、エジプト人はそれを聞き、ファラオの宮廷にも伝わった。 45:3 ヨセフは、兄弟たちに言った。「わたしはヨセフです。お父さんはまだ生きておられますか。」兄弟たちはヨセフの前で驚きのあまり、答えることができなかった。 45:4 ヨセフは兄弟たちに言った。「どうか、もっと近寄ってください。」兄弟たちがそばへ近づくと、ヨセフはまた言った。「わたしはあなたたちがエジプトへ売った弟のヨセフです。 45:5 しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。 45:6 この二年の間、世界中に飢饉が襲っていますが、まだこれから五年間は、耕すこともなく、収穫もないでしょう。 45:7 神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのは、この国にあなたたちの残りの者を与え、あなたたちを生き永らえさせて、大いなる救いに至らせるためです。 45:8 わたしをここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です。神がわたしをファラオの顧問、宮廷全体の主、エジプト全国を治める者としてくださったのです。
>>>召し使いたちを部屋から追い出し、突然泣き出したエジプトの大臣に誰もが戸惑ったことでしょう。その上、今までのように通訳を用いず、直接ヘブライ語で話し出します。さらに彼らを怖れさせたのが、ヨセフが自分の身を明かすと共に、兄たちがヨセフをエジプトへ売ったと勘違いしていたことです。突然の事柄に兄弟たちの驚きと戸惑いは当然のことだったと言えます。そんな兄弟たちにヨセフは慰めの言葉を語りかけます。多くの国の人命を救うために、全ては神の深いご計画の中で取り扱われているのだと信仰告白することができたのです。
45:9 急いで父上のもとへ帰って、伝えてください。『息子のヨセフがこう言っています。神が、わたしを全エジプトの主としてくださいました。ためらわずに、わたしのところへおいでください。 45:10 そして、ゴシェンの地域に住んでください。そうすればあなたも、息子も孫も、羊や牛の群れも、そのほかすべてのものも、わたしの近くで暮らすことができます。 45:11 そこでのお世話は、わたしがお引き受けいたします。まだ五年間は飢饉が続くのですから、父上も家族も、そのほかすべてのものも、困ることのないようになさらなければいけません。』 45:12 さあ、お兄さんたちも、弟のベニヤミンも、自分の目で見てください。ほかならぬわたしがあなたたちに言っているのです。 45:13 エジプトでわたしが受けているすべての栄誉と、あなたたちが見たすべてのことを父上に話してください。そして、急いで父上をここへ連れて来てください。」 45:14 ヨセフは、弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。ベニヤミンもヨセフの首を抱いて泣いた。 45:15 ヨセフは兄弟たち皆に口づけし、彼らを抱いて泣いた。その後、兄弟たちはヨセフと語り合った。
>>>人と人とがわかり合っていくということ。一度関係性がこじれた後で和解に向かっていくことは簡単なことではありません。聖書教育誌では、この場面を「和解の始まりなのでしょう」と捉えています。ヨセフ物語を読んでいると、人間個々の過去の過ちさえも、最終的には神の大いなる救いのみ業のために用いていただけるという希望が持てます。私たちの現在の全ての出来事も、やがて天のみ国における大いなる賛美に繋がることを信じて、共に前に進んで行けるよう祈ります。
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