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主日礼拝宣教要旨

2019年8月11日(日) 礼拝宣教要旨 「平和の使者として」マタイによる福音書10章5-15節

斎藤 信一郎 牧師

「むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところへ行きなさい。行って、『天の国は近づいた』と宣べ伝えなさい。」

               マタイによる福音書10章6-7節

 戦後74年を迎える平和主日礼拝です。今回の箇所の直前9章35節以降を読むと、主イエスが弟子たちを派遣した動機は『群衆が飼い主のいない羊のように弱り果て、打ちひしがれているのを、深く憐れまれた。』からだったことが伺えます。戦中、戦後の状況と重なり合う今回の箇所です。主イエスが弟子たちを派遣するにあたって指示された具体的な内容は、どれも実践に戸惑い、不可能と思えるものも少なくありませんでした。13~15節に至っては、内容的にも極めて厳しいものでした。しかし、この世のあらゆる憎しみ、差別、分断、命の奪い合いを永久に無くすために自ら十字架を背負い、執り成し祈られた主イエスの言葉として受け止める時に、み言葉の背後にある深い愛を読み取ることができます。
 主イエスは、多くの命が失われ、家庭が崩壊している現実を念頭に『失われた羊のところへと行きなさい』と弟子たち命じられます。蔓延する病気、死、治癒困難な病や目を背けたくなる様々な現実に直面している群衆を憐れみ、経済的にも物質的にも困窮している人々に寄り添い、どの町に行っても腰を据えて福音宣教する覚悟を持って『平和があるように』と祈るように指示されます。厳しい現実に心を閉ざしてしまう人々が存在することも覚悟しつつ、世の終わりを意識して最後まで福音宣教に専念することの必要性を弟子たちに語った主イエスの言葉として聞くことができます。
 現在91歳で、原爆投下当時17歳だった長崎バプテスト教会の山口カズ子さんが1979年NHKに応募した作品が、この度の長崎平和記念式典の平和宣言の冒頭で紹介されました。どんな代価を払っても、決して繰り返してはならない過ちがあることを訴え続ける大切さを教えられます。主イエスの宣教の動機と重なります。世界中の教会と祈りを合わせつつ、平和の使者として遣わされて参りましょう。


アイキャッチ画像 thanks!! to Nowshad Arefin on Unsplash

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