斎藤 信一郎 牧師
『主は、ロトが別れて行った後、アブラムに言われた。「さあ、目を上げて、あなたがいる場所から東西南北を見渡しなさい。~さあ、この土地を縦横に歩き回るがよい。わたしはそれをあなたに与えるから。」』
創世記 13章14節、17節
アブラムは神が彼を人類を祝福する源として選ばれたことを告げられてカナンの地へと出発します。しかし、アブラムは神の言葉への理解と自覚が不十分であったために、自分の知恵と力で問題解決を図ろうとして失敗もします。ネゲブ地方での飢饉への対応、自らの判断でエジプトに避難した時もそうでした。それでも、神はアブラムを用いて彼を祝福の源としてエジプトの地で用い続けられます。そして、彼と一族は再び無事にカナンの地へ戻り、かつて祭壇を築き、主の名を呼んで神の御心を尋ねて礼拝したベテルの地に戻ります。
ロト一族と分かれた後、神はアブラムに現れてその地から見渡せる限りの東西南北の非常に広い地域を彼および子孫に与えると約束されます。神がアブラムに託そうとしたのは、彼が考えるよりも遙かに広大な地域でした。やっと定住できると期待したアブラムだったかも知れませんが、神の指示に従って約束された土地を縦横に見て回ることになります。こうして、アブラムの祝福の源となる旅は続けられることになります。そして、エルサレムの南に位置するヘブロンに天幕を移し、そこで再び祭壇を築いて神に礼拝を献げます。
神がアブラムに導き続けられた人生は、ひとつの地域に安住し、礼拝をするというものではありませんでした。むしろ、各地に赴いて祭壇を築いて礼拝場所を増やし、各地に神の祝福をもたらしていく人生でした。私たちにキリストの大宣教命令を連想させる内容です。14節「さあ~見渡しなさい」、17節「さあ~歩き回るがよい」で、2度も神は「さあ、」という言葉で、アブラムを神の使命へと促します。私たちもこのみことばに促されて福音宣教へと送り出されて参りましょう。福音宣教によって生きる希望と励ましを必要としている人々が大勢います。東日本大震災から明日で8年。今なお、困難の中にある方、それに寄り添い続けている人々を共に覚え続けたいと思います。