西川口キリスト教会 斎藤 信一郎 牧師
『マリアは天使に言った。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」天使は答えた。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。」』ルカによる福音書1章34-35節
普段はクリスマスの時に引用される受胎告知の場面に、バプテストのみならず、プロテスタント教会
共通の最重要教理が含まれています。34節には、マリアが男性経験のない女性だったことが明記されて
います。そして、35節にはマリアが聖霊と父なる神の力によって男子を宿すことが天使によって告げら
れます。そのため、生まれる子は聖にして、神の子としての性質を宿して生まれてくることが語られま
す。ここに天地創造の神と助け主なる聖霊と御子イエスは三位一体の神であるという信仰理解が成立し
ます。また、聖霊と父なる神が妊娠の根本原因として語られ、かつ主イエスが人間マリアの出産によっ
てこの世に生まれて来たことによって、主イエスは「まことに神であり、まことに人である」というも
う一つの重要信仰理解が成立することになります。バプテストは16世紀より歴史上に登場しますが、1677年の第二ロンドン信仰告白の中にこれらの信仰理解は当初から存在していたことが確認できます。
これらの信仰理解は、長年のキリスト教内における討論と宗教会議を経て、キリスト教の根幹に関わ
る重要な信仰理解と認識され、今日まで受け継がれて参りました。この間に、主イエスが神ではあるが
人間ではないという聖書解釈、神ではなく人間であるという聖書解釈、神と人間との中間の存在である
という聖書解釈は、ことごとく異端として理解されるようになりました。また、三位一体の神を否定し
たり、教祖を主イエスの再来と理解したり、聖書に根拠のない信仰理解を聖書と同等に扱う発言も異端
として扱われるようになりました。世界統一家庭連合(旧:統一協会)、モルモン教、
テモテの第二の手紙3章16-17節には聖書主義に立つバプテストの重要聖句があります。「聖書はすべ
て神の霊の導きの下に書かれ、人を教え、戒め、誤りを正し、義に導く訓練をするうえに有益です。こうして、神に仕える人は、どのような善い業をも行うことができるように、十分に整えられるのです。」バプテストは聖書主義に立ち、聖霊の導きと教会内外の意見に真摯に耳を傾けながら福音宣教する教派なのです。