西川口キリスト教会 斎藤信一郎
今月の主題…「主なる神が用いられる器」
◆今月の概観
今月は士師記に登場する二人の士師を中心に学びます。前半の2回はアンモン人との戦さで主に用いられるエフタ、後半2回はペリシテ人との戦さで用いられるサムソンです。
舞台となる地域を、聖書の巻末の地図3「カナンへの定住」で確認しましょう。エフタはマナセ族のギレアド人に属しますが、当時ギレアド人はヨルダン川東方のガド族の住む地域にも広がっていたようです。今回の舞台となるギレアド人の本拠地であり、11節に登場するミツパの位置は、地図の中央を南北に流れるヨルダン川に、東から流れ込むヤボク川付近の場所と考えられています。エルサレムの北部にある、ベニヤミン領のミツパとは別の場所です。
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に聖書地図で確認し、違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟発行の教会学校教案誌です。詳細は下記のURLでご照会下さい。 http://www.bapren.com/index.html (『聖書教育』ホームページ)
◆黙想のポイント
エフタを用いられる神。その理由どこにあるのか黙想しましょう。
◆エフタ
11:1 ギレアドの人エフタは、勇者であった。彼は遊女の子で、父親はギレアドである。
>>>ギレアド人は、ヤコブの十二人の息子の一人ヨセフの二人の子どもの内、マナセの部族に分類されます。ギレアドの祖はマナセの孫にあたります。今回登場するエフタの父もギレアドという名前ですが、前述のギレアド人の祖とは違います。エフタとは「神は開きたもう」という意味です。エフタの属する部族は、11節に記載があるように、当時ミツパに住んでいました。ギレアド人たちを悩ませたアンモン人は、彼らが住む地域と隣接する東の地域を支配していた民族でした。そのため、領土争いが絶えなかったと考えられます。この箇所に「エフタは勇者であった」とありますが、過去のアンモン人との戦においてめざましい功績を残していたことが伺えます。
11:2 ギレアドの妻も男の子を産んだ。その妻の産んだ子供たちは成長すると、エフタに、「あなたは、よその女の産んだ子だから、わたしたちの父の家にはあなたが受け継ぐものはない」と言って、彼を追い出した。
>>>エフタは、遊女の子だという理由で他の兄弟たちから差別され、家から追い出されてしまいます。そして地理的にはガリラヤ湖の東方にあったと考えられているトブの地(マナセ領)に一時滞在することになります。
11:3 エフタは兄弟たちから逃れて、トブの地に、身を落ち着けた。そのエフタのもとにはならず者が集まり、彼と行動を共にするようになった。
>>>エフタが住み慣れたミツパの地を離れて北東方面のトブの地に逃れたのは、恐らく腹違いの兄弟たちに命を狙われる危険があったからだと考えられます。他に頼る者のいない場所にあって、エフタはならず者たちと共に生きざるを得なかったのかも知れません。彼はすぐに頭角を現し、ならず者たちを従える存在になっていったことが語られています。
11:4 しばらくしてアンモンの人々が、イスラエルに戦争を仕掛けてきた。 11:5 アンモンの人々が戦争を仕掛けてきたとき、ギレアドの長老たちはエフタをトブの地から連れ戻そうと、やって来た。 11:6 彼らはエフタに言った。「帰って来てください。わたしたちの指揮官になっていただければ、わたしたちもアンモンの人々と戦えます。」 11:7 エフタはギレアドの長老たちに言った。「あなたたちはわたしをのけ者にし、父の家から追い出したではありませんか。困ったことになったからと言って、今ごろなぜわたしのところに来るのですか。」 11:8 ギレアドの長老たちは、エフタに言った。「だからこそ今、あなたのところに戻って来たのです。わたしたちと共に来て、アンモン人と戦ってくださるなら、あなたにわたしたちギレアド全住民の、頭になっていただきます。」 11:9 エフタは、ギレアドの長老たちに言った。「あなたたちがわたしを連れ帰り、わたしがアンモン人と戦い、主が彼らをわたしに渡してくださるなら、このわたしがあなたたちの頭になるというのですね。」 11:10 ギレアドの長老たちは、エフタに言った。「主がわたしたちの一問一答の証人です。わたしたちは必ずあなたのお言葉どおりにいたします」と答えた。
>>>エフタがギレアドの長老たちの要請を無条件で引き受ける気になれなかったことは、容易に想像できます。それでもエフタは9節で語っているように、主なる神の助けがあることを前提に彼らの頭になることを引き受けました。ここに彼の信仰を見ます。
11:11 エフタはギレアドの長老たちと同行した。民は彼を自分たちの頭とし、指揮官として立てた。エフタは、ミツパで主の御前に出て自分が言った言葉をことごとく繰り返した。
>>>ギレアドの長老たちとミツパに戻ったエフタが真っ先にしたのは、礼拝する場所に行き、主なる神に祈ることでした。人の生い立ちの善し悪しではなく、「神の助けを仰ぎながら事柄を進めていこうとする者を神は用いていかれる」というメッセージがここにあります。
◆話し合いのポイント
・聖書教育誌の「話し合いのポイント」および少年少女科の「活動」などを参考にして下さい。
青年成人科の「話し合いのポイント」や少年少女科の「おはなし」少年少女科のコラムも考えさせられます。