西川口キリスト教会 斎藤信一郎牧師
『二人のことでくじを引くと、マティアに当たったので、この人が十一人の使徒の仲間に加えられることにな
った。』使徒言行録26節
主イエスが昇天されてから聖霊降臨日を迎えるまでの十日間、120人ほどの弟子たちが一つとなって祈り続けていました。その席上で、ペトロの進言で短剣を身に付けている者という意味のイスカリオテのユダに代わる使徒を選ぶことになります。十二弟子に加わり、キリストの復活の証人となるためでした。伝統的な方法に従い、祈ってくじで決めることになり、バルサバと呼ばれ、ユストともいうヨセフと、マティアの二人に絞られ、くじの結果マティアが選ばれます。
しかし、この人選は結果的にそれほど重要でなくなってしまいます。数日後に起きる聖霊降臨の日以降、すべての弟子たちが聖霊に導かれて宣教するようになり、パウロを始めとする多くの使徒がその後も誕生し、それぞれに十二使徒同様に活躍するようになるからです。
13番目の主イエスの弟子、また使徒として選ばれたマティアのその後の活躍については不明です。マティアについて想像できることは、主イエスがバプテスマを受けた頃から従い続けた弟子だったということ。70人が二人一組で各地の宣教活動に派遣された時、マティアもいたであろうこと。他の弟子たち同様に主イエスの死を悲しみ、途方に暮れたであろうこと。その後、復活した主イエスに会い、昇天される時に大宣教命令を耳にしたであろうこと。そして聖霊降臨日以降は力強く宣教活動をしたであろうということです。他の十二弟子のように具体的にどんな活躍をしたのか、あるいはどんな死に方をしたのか記録が残らない弟子でしたが、仲間に信任され、使徒として用いられたマティアでした。私たちも、これに続くものでありたいと願わされます。