西川口キリスト教会 斎藤 信一郎 牧師
今月の主題…「約束を誠実に実行し続ける神」
◆前回から今回の箇所までの流れ
前回21章の話は、ハガルとイシュマエルが、サラの求めでアブラハム一族から追放されることになります。神はアブラハムとの約束を守り、彼らが荒野で死ぬことのないように守っていかれます。その次は、ペリシテ人の王アビメレクの孫の代まで、アブラハムとの間に平和協定が結ばれる話です。22章は、神がアブラハムの信仰を試すために、モリヤの山で息子のイサクを献げるように命じる話です。次にアブラハムの親戚であるナホル一族の家系図が語られ、息子イサクの嫁探しの伏線となります。
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に聖書地図で確認し、違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟発行の教会学校教案誌です。詳細は下記のURLでご照会下さい。 http://www.bapren.com/index.html (『聖書教育』ホームページ)
◆黙想のポイント
イスラエルの基礎を築いた親子三代の墓となるヘブロンのマクペラ。主なる神の約束を信じて墓を購入するアブラハムを黙想しましょう。また、これがやがて十二部族のユダの土地となっていった際に、イスラエルにとって、どれほど重要な場所になっていったかを黙想しましょう。
◆サラの死と埋葬
23:1 サラの生涯は百二十七年であった。これがサラの生きた年数である。
>>>珍しく聖書の中で、妻の生涯の年数が書かれている箇所です。これは破格の待遇と言っていいでしょう。
23:2 サラは、カナン地方のキルヤト・アルバ、すなわちヘブロンで死んだ。アブラハムは、サラのために胸を打ち、嘆き悲しんだ。23:3 アブラハムは遺体の傍らから立ち上がり、ヘトの人々に頼んだ。23:4 「わたしは、あなたがたのところに一時滞在する寄留者ですが、あなたがたが所有する墓地を譲ってくださいませんか。亡くなった妻を葬ってやりたいのです。」23:5 ヘトの人々はアブラハムに答えた。「どうか、23:6 御主人、お聞きください。あなたは、わたしどもの中で神に選ばれた方です。どうぞ、わたしどもの最も良い墓地を選んで、亡くなられた方を葬ってください。わたしどもの中には墓地の提供を拒んで、亡くなられた方を葬らせない者など、一人もいません。」23:7 アブラハムは改めて国の民であるヘトの人々に挨拶をし、23:8 頼んだ。「もし、亡くなった妻を葬ることをお許しいただけるなら、ぜひ、わたしの願いを聞いてください。ツォハルの子、エフロンにお願いして、23:9 あの方の畑の端にあるマクペラの洞穴を譲っていただきたいのです。十分な銀をお支払いしますから、皆様方の間に墓地を所有させてください。」23:10 エフロンはそのとき、ヘトの人々の間に座っていた。ヘトの人エフロンは、町の門の広場に集まって来たすべてのヘトの人々が聞いているところで、アブラハムに答えた。
>>>当時の重要な約束ごとを取り決める時の方法が示されています。町の入り口付近で、しかも大勢の証人の前で、契約は結ばれました。
ヘブロン・・・レビの孫で、レビの子ケハトの子どもがヘブロンです。彼は死海の西側、ユダの山地の一部を手に入れることになります。2節にあるように、アブラハムの時代は、この地はキルヤト・アルバと呼ばれていました。
ヘト人・・・10章のノアの子孫の系図によれば、ノアの子ハムの子孫からカナン人が登場し、カナン人からシドン人やヘト人が出ています。最終的にヘト王国は、北王国イスラエル同様にアッシリア帝国によって滅ぼされます。
23:11 「どうか、御主人、お聞きください。あの畑は差し上げます。あそこにある洞穴も差し上げます。わたしの一族が立ち会っているところで、あなたに差し上げますから、早速、亡くなられた方を葬ってください。」23:12 アブラハムは国の民の前で挨拶をし、23:13 国の民の聞いているところで、エフロンに頼んだ。「わたしの願いを聞き入れてくださるなら、どうか、畑の代金を払わせてください。どうぞ、受け取ってください。そうすれば、亡くなった妻をあそこに葬ってやれます。」23:14 エフロンはアブラハムに答えた。「どうか、23:15 御主人、お聞きください。あの土地は銀四百シェケルのものです。それがあなたとわたしの間で、どれほどのことでしょう。早速、亡くなられた方を葬ってください。」
>>>土地の売買契約を行う際の儀式の様子です。
23:16 アブラハムはこのエフロンの言葉を聞き入れ、エフロンがヘトの人々が聞いているところで言った値段、銀四百シェケルを商人の通用銀の重さで量り、エフロンに渡した。23:17 こうして、マムレの前のマクペラにあるエフロンの畑は、土地とそこの洞穴と、その周囲の境界内に生えている木を含め、23:18 町の門の広場に来ていたすべてのヘトの人々の立ち会いのもとに、アブラハムの所有となった。23:19その後アブラハムは、カナン地方のヘブロンにあるマムレの前のマクペラの畑の洞穴に妻のサラを葬った。23:20 その畑とそこの洞穴は、こうして、ヘトの人々からアブラハムが買い取り、墓地として所有することになった。
>>>当時、ペルシャの貨幣で銀貨1枚が5.6グラムだったようです。従って、銀四百シケルとは重さにして2.24㎏ということになります。エフロンはアブラハムに、自分の土地を無償で提供してもいいと言っていますが、アブラハムは土地を正当に手に入れる手続きを願い求めます。実際にはそれなりに高い代金をアブラハムは支払ったことが示されており、異邦の地においてマクペラの洞窟の土地が、正当にアブラハムの土地であることが語られています。この墓には後にアブラハムだけでなく、息子イサクと妻リベカ、孫ヤコブと妻レアも葬られます(49章29-32節、50章12-13節)。
◆話し合いのポイント
- アブラハムの時代、異国にいながら、その土地の人々と平和、そして対等に暮らしたアブラハムの姿が描かれています。後のイスラエルとペリシテ(現代のパレスチナ)との争いもありません。このような時代があったことに希望を持ちつつ、終戦記念やお墓について語り合ってはいかがでしょうか。
- 聖書教育誌の「話し合いのポイント」および少年少女科の「活動」などを参考にして下さい。
青年成人科の「話し合いのポイント」や少年少女科の「おはなし」少年少女科のコラムも考えさせられます。