西川口キリスト教会 斎藤信一郎牧師
『朝になると弟子たちを集め、その中から十二人を選んで使徒と名付けられた。』ルカによる福音書6章13節
ヤコブは英語の新約聖書ではジェイムズといいます。人の名前としては省略形でジムあるいはジミー
といいます。ヤコブという名前は、元を正せば旧約聖書の創世記に登場するイスラエルの十二部族の祖
となったアブラハムの孫のヤコブから来ています。そのため、イスラエルでは非常に多い名前でした。
初代教会の有力な指導者となった主イエスの弟もヤコブといいました。創世記25章によると、名前の由
来は、ヤコブが生まれる時、双子の兄エソウのかかと(アーケーブ)をつかんで生まれたことにありま
す。また、ヤコブには「取ってかわられた」という意味もあります。
ルカによる福音書6章だけでなく、マタイとマルコの両福音書も十二弟子の紹介をする時に、主イ
エスの側近三人衆の一人であったゼベダイの子ヤコブと区別するために、十二弟子ヤコブをアルファイの子ヤコブと呼んでいます。主イエスはなぜこの人物を十二弟子に選び、使徒として用いられたのでしょうか。聖書は多くを語りませんが、限られた情報から共に考えたいと思います。
今回のヤコブについて知りうることは父親がアルファイと呼ばれていたこと。そして、マルコによる
福音書15章40節『また、婦人たちも遠くから見守っていた。その中には、マグダラのマリア、小ヤコブとヨセの母マリア、そしてサロメがいた。』から、母親はマリアといい、弟はヨセでした。ここで小ヤコブと表現されているのは、ゼベダイの子ヤコブ(大ヤコブ)と区別するためです。十二弟子の多くが世界伝道に出かけて殉教の死を遂げたのに対し、伝説では彼はエルサレムに残り、石打ちの刑で殉教したとされています。主イエスが用いられた人材の中には、地味ながら家族の祈りに支えられて、地道に伝道した弟子がいたということです。ここに神の家族である教会員の祈りに支えられている私たちの希望があります。