西川口キリスト教会 斎藤 信一郎 牧師
今月の主題…「キリストにある一致」
◆コリントという都市の特徴
- ローマ帝国内で4番目に大きな重要都市(ローマ、アレクサンドリア、エペソに次ぐ)
- 北部のペロポネソス半島と南部のギリシャ半島を結ぶ、数キロしかない接続地帯の西側の都市
- 東側の海岸町ケンクレアと連携して、東西からの船での物資の流通、南北からの陸路による物資の流通の中継地点として立地条件が良く、経済発展する。
- 愛の女神アフロディーテが祭られている有名な神殿が南部にある。神殿巫女(娼婦を兼任)1000人と言われる。
- 6章9節には男娼もいたことが示唆されている。
- 以上を背景に、道徳倫理面では諸国に聞こえるほどの堕落を見せた一面があり、「コリント風に生きる」という流行語ができるほどであった。この影響をコリントの教会員も受けていたことが背景として考えられる。
- コリントにはオリンピアに次ぐ巨大な競技場(兼闘技場)があり、2万人収容できる会場で、2年ごとに大会が開催されていた。9章24~25節にそれを示唆する内容が語られている。
- いかに伝道が困難な地域だったとしても、神は「恐れるな。語り続けよ。黙っているな。わたしがあなたと共にいる。だから、あなたを襲って危害を加える者はない。この町には、わたしの民が大勢いるからだ。」(使徒言行録18章9-10節)とパウロを直接的に励ましたほど、コリントは神の目が注がれていた地域であった。
コリントス運河 コリントスの遺跡
◆今回の箇所までの概略
パウロはコリントで、第二回目の伝道旅行の際に、全伝道旅行中2番目に長い一年半の伝道活動を行っている。第三回目の伝道旅行の際、約3年間滞在することになるエフェソでコリントの実情を伝え聞き、手紙を書く。
1章前半は挨拶。
後半から2章前半は、「十字架のことば」、「十字架につけられたキリスト」を強調しながら、他者の罪を自分の問題として受け止めたキリストの模範を信仰の土台とするように訴える。
2章後半から3章前半では、聖霊に導かれて生活することの大切さを語り、肉の人(信仰的に未熟な者)から霊の人(信仰的に成熟している者)になっていく必要を説く。
3章後半から4章では、自らを聖霊の宿る神殿であると自覚し、キリストに結ばれた者として他者に模範を示す生き方をするように勧める。
5~6章では、コリントの教会内で、性道徳に関する罪を犯している信者を放置していること、また、教会内で起きた問題を解決できず、一般の裁判に頼って教会の評判を下げてしまっていることに言及する。パウロは、クリスチャンがキリストに代価を支払われて買い取られた存在であり、自らが神の聖なる神殿である自覚を持って生きることの必要を繰り返し強調する。
そして7章前半では、世の終わりが非常に近いと考えていた当時の信仰理解を前提に、クリスチャンは結婚すべきかどうかについてパウロの考えが述べられ、今回の箇所へと続く。
◆黙想のポイント
・世の終わりが近いと考えていた当時のクリスチャンたちの状況を踏まえて今回の箇所を黙想しましょう。
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟発行の教会学校教案誌です。詳細は下記のURLでご照会下さい。http://www.bapren.com/index.html
(『聖書教育』ホームページ)
◆主が定めた生き方
7:17 おのおの主から分け与えられた分に応じ、それぞれ神に召されたときの身分のままで歩みなさい。これは、すべての教会でわたしが命じていることです。
7:18 割礼を受けている者が召されたのなら、割礼の跡を無くそうとしてはいけません。割礼を受けていない者が召されたのなら、割礼を受けようとしてはいけません。
7:19 割礼の有無は問題ではなく、大切なのは神の掟を守ることです。
7:20 おのおの召されたときの身分にとどまっていなさい。
7:21 召されたときに奴隷であった人も、そのことを気にしてはいけません。自由の身になることができるとしても、むしろそのままでいなさい。
7:22 というのは、主によって召された奴隷は、主によって自由の身にされた者だからです。同様に、主によって召された自由な身分の者は、キリストの奴隷なのです。
7:23 あなたがたは、身代金を払って買い取られたのです。人の奴隷となってはいけません。
7:24 兄弟たち、おのおの召されたときの身分のまま、神の前にとどまっていなさい。
>>>この箇所は特に奴隷制度が考慮に入れられています。21節のように語るのも、世の終わりが近いことが前提になっていると考えられます。奴隷から解放されるためには、気の遠くなるほどの努力を重ねて、自由になるための資金をわずかな収入から貯金していく必要がありました。当時の神殿は、奴隷たちの貯金場所として一役かっていたようです。初代教会では、奴隷とその主人が同時に教会員となるケースもあったことでしょう。奴隷制度の是非も議論になっていたことが伺えます。
◆話し合いのポイント
・聖書教育誌の「話し合いのポイント」および少年少女科の「活動」を参考にして下さい。