西川口キリスト教会 斎藤 信一郎 牧師
今月の主題…「主イエスの御業を引き出す信仰」
◆参考:マルコによる福音書におけるイエスの最後の一週間の概略…赤は聖書教育誌の日程・箇所
1日目 | (日曜日) | 11章~子ロバに乗ってエルサレム入場~宿泊所に戻るまでマルコは主イエスの会話を一切載せない。 |
2日目 | (月曜日) | いちじくの木を呪い主イエス、神殿商人を追い出す、主イエスの殺害協議 |
3日目 | (火曜日) | いちじくの木の教訓、何の権威? 12章~ぶどう園の農夫のたとえ、皇帝への税金問題、復活問答、重要な掟について。ダビデの子についての問答、律法学者を非難する、やもめの献金。(3/4聖書教育) 13章~神殿の崩壊を予告する、終末の徴、大きな苦難を予告する、人の子が来る、いちじくの木の教え、目を覚ましていなさい |
4日目 | (水曜日) | 14章~イエスを殺す計略、ベタニアで香油を注がれる(聖書教育3/11)、ユダ、裏切りを企てる。 |
5日目 | (木曜日) | 過越の食事をする、主の晩餐、ペトロの離反を予告する、ゲツセマネで祈る、裏切られ、逮捕される、一人の若者、逃げる、最高法院で裁判を受ける、ペトロ、イエスを知らないと言う。(聖書教育3/18) |
6日目 | (金曜日) | 15章~ピラトから尋問される、死刑の判決を受ける、兵士から侮辱される、十字架につけられる、イエスの死、墓に葬られる(聖書教育3/25)。 |
7日目 | (土曜日) | 安息日 |
8日目 | (日曜日) | 16章~復活する(4/1聖書教育) 、マグダラのマリアに現れる、二人の弟子に現れる、弟子たちを派遣する。天に上げられる。 |
黙想のポイント
・貧しいやもめがどのような思いで献金したのか黙想しましょう。そして主イエスがその思いをどのように受け止めたのか黙想しましょう。
・なお、聖書教育誌の各科担当の連携力に敬服します。それぞれが相乗効果が期待できる内容になっています。是非、他の科の内容もご参照下さい。また、通常今回の箇所のように複数の見出しがある聖書箇所を一つのカリキュラムで扱うことは範囲が広くなり、焦点もぼやけがちですが、聖書教育誌を読むと納得が行きます。よく考えられて聖書範囲が選ばれています。
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟発行の教会学校教案誌です。詳細は下記のURLでご照会下さい。http://www.bapren.com/index.html
(『聖書教育』ホームページ)
◆ダビデの子についての問答
12:35 イエスは神殿の境内で教えていたとき、こう言われた。「どうして律法学者たちは、『メシアはダビデの子だ』と言うのか。
12:36 ダビデ自身が聖霊を受けて言っている。『主は、わたしの主にお告げになった。「わたしの右の座に着きなさい。わたしがあなたの敵を/あなたの足もとに屈服させるときまで」と。』
12:37 このようにダビデ自身がメシアを主と呼んでいるのに、どうしてメシアがダビデの子なのか。」大勢の群衆は、イエスの教えに喜んで耳を傾けた。
◆律法学者を非難する
12:38 イエスは教えの中でこう言われた。「律法学者に気をつけなさい。彼らは、長い衣をまとって歩き回ることや、広場で挨拶されること、
12:39 会堂では上席、宴会では上座に座ることを望み、
12:40 また、やもめの家を食い物にし、見せかけの長い祈りをする。このような者たちは、人一倍厳しい裁きを受けることになる。」
◆やもめの献金
12:41 イエスは賽銭箱の向かいに座って、群衆がそれに金を入れる様子を見ておられた。大勢の金持ちがたくさん入れていた。
12:42 ところが、一人の貧しいやもめが来て、レプトン銅貨二枚、すなわち一クァドランスを入れた。
12:43 イエスは、弟子たちを呼び寄せて言われた。「はっきり言っておく。この貧しいやもめは、賽銭箱に入れている人の中で、だれよりもたくさん入れた。
12:44 皆は有り余る中から入れたが、この人は、乏しい中から自分の持っている物をすべて、生活費を全部入れたからである。」
>>>聖書教育誌の内容で全般的には十分に説明されているので、今回はやもめの献金の箇所に焦点を当てます。
少年少女科の箇所で「生活のすべてをささげてしまった彼女は、その後どのように生きていったのだろうかと考えさせられます。」との問いを共に考えたいと思います。そのためにも黙想のポイントにあげた通り、やもめと主イエスのこの時の思いを検討してみましょう。
そこで、まず考えてみたいのは、この女性が一食分の食事代にもみたない手持ちの現金をすべて神に捧げたのは、主イエスと出会った後だったのか、それとも主イエスと出会い、その福音を聞く前だったのかということです。
もし、主イエスの福音をまだ聞いたことがなかったとするならば、彼女は生活に窮して自殺を考えるほどに追いつめられており、最後の望みをかけて持ち合わせのすべてを捧げて神に救済を祈ったのかも知れません。
あるいは、彼女は主イエスの話を聞き、自分のこれまでの人生を一度完全にリセットする思いで、持ち合わせの現金すべてを神に捧げて、主なる神に人生を委ねて生きようとしていたのかも知れません。もし、後者だとするならば、古き罪深い自分に死に、人生を主イエスに委ねて新しく生きることを意味するバプテスマ(洗礼)を受ける時のような信仰だったのかも知れません。
主イエスはこのやもめをどのように見ておられたのでしょうか。聖書教育誌も言及しているように、43節で主イエスが彼女の行為を見て、わざわざ弟子たちを呼び集め「はっきり言っておく…」と語り始めた時のこの言葉は、キリスト教、ユダヤ教でも共通のアーメンという言葉が用いられています。これは極めて重要な神の真理を弟子たちに伝えたい時に主イエスがよく用いた言い方です。主イエスはやもめの献金を最大限に評価し、そこに居合わせた礼拝者の中で最も多くを神に捧げたと宣言しました。
そのような主イエスですから、彼女がたとえ主イエスの福音にまだ出会っていなかったとしても、その場で彼女の今後の人生のために祝福の祈りをしたに違いありません。また、このように主イエスに評価された彼女の献金を通しての祈りは、神に確実に届いたと言えるのではないでしょうか。
現在、受難節の時を過ごしています。私たちや私たちの周りには様々な人生の試練の中で窮地に立たされ、苦しみの中にいる方々がおられることと思います。「今の私」に常に目を注いでいてくださるキリストがおられることを感謝し、「今の私」が持てるすべてを主に委ね、出来ることから前に進んで参りましょう。
また、「今の私たち(教会)が他の人にできること」を主イエスに問いながら、出来る事から前に進んで参りましょう。
◆話し合いのポイント(聖書教育誌と連動させて…)
・青年成人科の「話し合いのポイント」と少年少女科の「活動」をご参照下さい。