斎藤 信一郎 牧師
◆今月の主題…「キリストのご降誕・復活・再臨の希望」
聖書教育誌は主イエスの降誕物語の前に、主イエスの復活物語から始める意義を見出す試みをしています。再臨もキリスト教会においてクリスマスと共に大切にされて来ました。クリスマスが復活・再臨とどう結びつき、私たちの希望につながるのか、ご一緒にみことばに聞いて参りましょう。
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に聖書地図で確認し、違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟発行の教会学校教
◆黙想のポイント
東方の学者たちがどのように神さまに用いられたのか、そしてどのような意義をキリストの御降誕に与える結果となっているのか黙想しましょう。
◆占星術の学者たちが訪れる
2:1 イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、2:2 言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。
>>>当時の占星術者は、現代の占い師とはかなり違っていたようです。むしろ学者のような存在であり、気象や農耕に関する情報に詳しく、人々に尊敬されていたと考えられています。そんな彼らが、占星術を用いて、ユダヤ地方に特別な王子が生まれたと考えたのは何故でしょうか。ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーは、紀元前7年に起きた、ユダヤ人の代表星とされる土星と、王を象徴する木星が、短期間のうちに3回重なり合って見えるほど接近するという大変珍しい天体現象を、ベツレヘムの星だと結論付けています。王の在位が紀元前4年までだったことを重ね合わせると、丁度この天体現象が、学者たちが目撃した星ではないかと考えることができます。この珍しい現象は、2020年の12月のクリスマスの時期にも数日間起きると言われています。主イエスが誕生した時のことを想像する手助けになるかもしれません。
2:3 これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。 2:4 王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。
>>>聖書教育誌で新たな気付きが与えられましたが、学者たちが単純にユダヤ人の特別な王の誕生と考えたことを、ヘロデ王は聖書が預言しているメシアのことではないかと考えたということです。
2:5 彼らは言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています。2:6 『ユダの地、ベツレヘムよ、/お前はユダの指導者たちの中で/決していちばん小さいものではない。お前から指導者が現れ、/わたしの民イスラエルの牧者となるからである。』」
>>>これはミカ書5章1節(1454p)の引用です。
2:7 そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。2:8 そして、「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言ってベツレヘムへ送り出した。2:9 彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。2:10 学者たちはその星を見て喜びにあふれた。2:11 家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。
>>>東方で見た星が再び現れ、丁度ベツレヘムに着く頃に頭上で輝いたことにより、学者たちは神の旅の祝福をどれだけ実感したことでしょうか。11節には彼らが家畜小屋ではなく、家に入ったとあります。ルカによる福音書で語られていた場面よりも数日、あるいは数週間時間が経ち、生まれたばかりの赤ん坊の世話が安心してできる適当な滞在先が見つかったことを意味しています。
2:10b彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。
>>>学者たちが持って来た贈り物は、主イエスの生涯を象徴するものでした。黄金は王を象徴する宝物であり、王の王と呼ばれる主イエスにふさわしいものだったと言えます。しかも、間もなくヨセフたちが、暗殺者たちを逃れてエジプトへの旅をする時に不可欠だったと考えられます。乳香は祭司が神殿の至聖所で用いる、特別な香料の中心的なものでした(出エジプト30章34節145p参照)。これも永遠の大祭司と言われるキリストにふさわしい贈り物だったと言えます。そして、没薬は防腐剤であり、死者の葬りに用いられましたが、キリストの十字架の贖いを指し示していると考えられます。そして、主イエスは全人類を罪の支配と腐敗から救い、清めて下さるという観点からもふさわしい贈り物だったと言えます。
2:12 ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。
>>>神さまはヘロデ王の殺害計画から主イエス親子を守るため、天使を用いて夢で学者たちを導きます。学者たちはヘロデ王にお世話になった身でした。夢のお告げを信じて行動すれば、ヘロデ王への義理を欠くことになってしまいます。しかし、彼らが素直に夢のお告げに従ったことによって、主イエスとマリアとヨセフは命を守られたのです。主イエスの誕生とその後の安全な成長のために、神はユダヤ人以外の人々も用いながら、全世界の王となられる救い主の誕生を意義あるものにされました。そして、主イエスはあらゆる試練を経て復活されたからこそ、この祝福に日本に住む私たちも招き入れられていることに感謝したいと思います。共に主に栄光を帰すクリスマスを過ごしましょう。
◆話し合いのポイント<聖書教育誌を読んで>
・聖書教育誌は、東方の学者たちを通して示される…時間と労力とお金を惜しまずに「自分のその時持てる精一杯を主に献げていく…」という視点に言及しています。今のあるがままの自分にできる主イエスに栄光を帰すのにふさわしいクリスマスの過ごし方について互いに分かち合ってみてはいかがでしょうか。