西川口キリスト教会 斎藤 信一郎 牧師
「これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは神に従う無垢な人であった。ノアは神と共に歩んだ。」 6章9節
新年は創世記から御言葉に聞きます。6章冒頭では、神の導きと祝福の中で行われるべき結婚を、自分勝手な基準で行うことが問題提起されています。神が定める結婚の在り方は、人生のすべてに影響を及ぼすものです。ノアが生きていた時代、神がこの世界を創造したことを悔やむほどに結婚の在り方は損なわれ、世界は神を生活の隅に追いやって自己中心に生きるようになってしまいます。3節の「わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない。人は肉にすぎないのだから。」という神の嘆きの言葉は、神の教えから離れて生きる人間の現実を表した言葉です。神が共に歩みたいと強く願われているにも関わらず、人間の罪が神の霊を追い出し、神とのあるべき関係を引き裂いていることを表現しています。
時代がますます神を無視して生きるか、自分に都合のいいように神を利用して生きるようになる中で、ただひとり、神の目に止まった家族がいました。ノアとその家族です。9節後半の「ノアは神と共に歩んだ。」という言葉は、聖書に繰り返し登場する中心主題です。5章の系図を読み解くと、人類の祖であるアダムから数えて7代目のエノクも神と共に歩んだことが強調されています。10代目にあたるノアは初代のアダムとエノクを除くすべての祖父たちが生存していた時代に生まれます。ノアが神に特別に認められる生き方ができたのは、これらの祖父たちの模範があったからだと考えられます。ますます聖書不在の世の中となり、イエス・キリストをあからさまに救い主として告白し、クリスチャンとして礼拝第一に生き、あるいは聖書が指し示す結婚の在り方を守ることが困難な時代に私たちも生きています。
幸い私たちにはノアの信仰を支えた祖父たちに代わり、西川口教会があります。教会は現代の方舟(はこぶね)です。時代がどんなに聖書が指し示す生き方から離れて生きることを要求しても、共にキリストに導かれ、聖書に養われて新年も歩んで参りましょう。