西川口キリスト教会 斎藤 信一郎 牧師
「神が命じられたとおりに、すべて肉なるものの雄と雌とが来た。主は、ノアの後ろで戸を閉ざされた。」
創世記7章16節
神が指示された通りに全長約150m、幅25m、高さ15mの箱舟を建造していくノアたちでしたが、それには時間と労力と忍耐が必要だったはずです。大量の材木を初めとする資材の確保と加工に時間をかけ、内側にタールを塗るのも少人数では骨が折れたはずです。そして、多くの人が神のご計画を知り、罪を悔い改める最後の機会になるとも知らずに、ノアたちの箱舟造りを見学し、噂し、時には嘲笑ったことでしょう。それでも神の使命に生きることを選び、すべて神が命じられた通りに実行するノアとその家族でした。
時が来ると、地上に四十日、四十夜雨が降り続き、世界中の山が山頂まで水に沈んでしまいます。この原因について、聖書は11節で異例の海底地殻変動が大洪水と大雨をもたらしたことを示唆しています。考えられることとして、地底内に蓄積されていた温水が世界中で大量に流れ出し、全世界の海水量を飛躍的に増加させ、そのために世界規模の大雨と大洪水が起こり、約一年かけて元の状態に戻って行ったと想定することができます。
さて、ノアの洪水物語で特に注目しておきたいのは、神の関わりについてです。神はノアたちに箱舟造りと動物たちを一緒に箱舟に入れることを指示していますが、肝心の部分は神ご自身が積極的に関わっておられることに気づきます。9節ではあらゆる動物が「箱舟のノアのもとに来た」とあります。ノアたちが全ての動物を「箱舟に連れて来た」とは書いてありません。神の助けがあったことを示唆しています。また、16節では、最後に神ご自身が「ノアの後ろで戸を閉ざされた」とあります。一番重要な扉が最後は神の手で封印されたという表現に、神の細部に渡る心遣いと臨在を感じます。神は人類にご計画を示し、ご計画を共に担って下さるお方だということを聖書は伝えようとしているのです。人類救済のご計画に、私たちも招かれていることを感謝したいと思います。