西川口キリスト教会 斎藤 信一郎 牧師
総合テーマ 「世の中で信仰を貫き通すには…どんな信仰が必要か、何が罠になりやすいか」
◆前回から今回までのつなぎのあらすじ
神はギデオンにミディアン人と戦わせる前にもうひとつやり遂げる使命を与えられます。父ヨアシュが家に持っていた偶像神を破壊し、特別に用意させた祭壇の上でそれを薪として用い、燔祭を捧げるように命じます。主のご用に当たる際には、まず偶像礼拝の習慣を身の周りから拭い去ることを怠らないことを示されます。その後、ミディアン人、アマレク人、東方の諸民族が皆結束して川を渡って来て、イズレエルの平野に陣を敷くと、ギデオンはイスラエルの諸部族に招集をかけます。そして方々から約3万2千人がギデオンの元に集ります。
黙想のポイント
・神の御業が起きるためには、どのような準備と信仰が必要だと今回の箇所は示しているでしょうか。
◆
7:1 エルバアル、つまりギデオンと彼の率いるすべての民は朝早く起き、エン・ハロドのほとりに陣を敷いた。ミディアンの陣営はその北側、平野にあるモレの丘のふもとにあった。
7:2 主はギデオンに言われた。「あなたの率いる民は多すぎるので、ミディアン人をその手に渡すわけにはいかない。渡せば、イスラエルはわたしに向かって心がおごり、自分の手で救いを勝ち取ったと言うであろう。
>>>いよいよ両者の戦いが始まる直前になって、神はギデオンに待ったをかけます。それは、神の御業が明らかにギデオンたちの戦いの上にあることが、分かるようにするための仕掛けをギデオンにさせるためでした。
7:3 それゆえ今、民にこう呼びかけて聞かせよ。恐れおののいている者は皆帰り、ギレアドの山を去れ、と。」こうして民の中から二万二千人が帰り、一万人が残った。
>>>手始めに、これから起きる戦いに恐れを抱いている者たちに帰らせることから始まりました。そこで約3万2千人いた兵士が1/3に満たない1万に減りますが、ここでは何が起きたのでしょうか?戦うことを覚悟で、命を落とすかもしれないという覚悟で、その場にいなかった者はほとんどいなかったことでしょう。強大な敵を前に恐れおののいていてもおかしくない場面です。はせ参じた戦士たちは恐らくギデオンが彼らの士気を高め、一致団結できる言葉を期待していたと思います。ところが、その指揮官が「恐れおののいている者は皆帰れ」と全体の士気を下げることを言う。「こんな指揮官の元では、勝敗は戦う前から決まってしまっている。さあ、それがお望みならもう帰るぞ!」このような会話が瞬く間に全体に行きわたり、集まった戦士が1/3に減ったのがこの場面ではないかと想像します。本来ならば、ギデオンは「神をまことに恐れる者だけ、ここに残りなさい」と言った方がまだましだったのではないかと思います。しかし、「恐れおののいている者は皆帰れ」とギデオンに意図的に言わせたのは主なる神でした。神の側では戦士たちがこれを聴いてどう反応するのか、分かっていてギデオンに言わせたことでした。
7:4 主はギデオンに言われた。「民はまだ多すぎる。彼らを連れて水辺に下れ。そこで、あなたのために彼らをえり分けることにする。あなたと共に行くべきだとわたしが告げる者はあなたと共に行き、あなたと共に行くべきではないと告げる者は行かせてはならない。」
7:5 彼は民を連れて水辺に下った。主はギデオンに言われた。「犬のように舌で水をなめる者、すなわち膝をついてかがんで水を飲む者はすべて別にしなさい。」
7:6 水を手にすくってすすった者の数は三百人であった。他の民は皆膝をついてかがんで水を飲んだ。
7:7 主はギデオンに言われた。「手から水をすすった三百人をもって、わたしはあなたたちを救い、ミディアン人をあなたの手に渡そう。他の民はそれぞれ自分の所に帰しなさい。」
>>>さらに、神はギデオンに水辺で気品ある飲み方で水を飲んだ3百人を残して、他のすべての者たちを帰らせるように命じます。それは初めの1/100にも満たない人数でした。到底この人数では勝利などできないと、はっきりと分かる人数まで神はギデオンが率いる兵力を減らしました。その兵力で神はギデオンに勝利を与えると約束されました。
7:8 その民の糧食と角笛は三百人が受け取った。彼はすべてのイスラエル人をそれぞれ自分の天幕に帰らせたが、その三百人だけは引き留めておいた。ミディアン人の陣営は下に広がる平野にあった。
>>>ミディアン人たちは下に見下ろせる平野におびただしく広がっていたことでしょう。残った三百人はどのような思いで敵を見渡したことでしょうか。勝つ見込みなど微塵も感じられなかったことと想像します。それでも、ギデオンは、ただ神に従って粛々と命じられた通りに、ことを実行に移していきます。どんなに心もとなかったことでしょうか。それでも、彼にこの決断と服従をさせたものは、神がギデオンに信じて従うことの大切さを教えて来られたからではないでしょうか。
分かち合いのポイント
・私たち、クリスチャンは仏教や神道、あるいは無神論者が多い日本にあって、全体の1/100にも満たない少数派です。伝道がますます困難になって来ているように感じる方も多いと思います。また、高齢化も進み、若い世代への信仰継承が強く望まれるところですが、肝心の子どもたちが塾、部活動、模試、学校行事等でますます教会に来ることができなくなって来ています。教会の教勢も財政面でもなかなか上向きになりにくい時代のただ中にあって、私たちも今回のギデオンたちのような境遇に置かれていると、感じる方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、神は敢えてそのような民を用いて、御業をなされると言うことを今回の箇所は語っています。今回の箇所から私たちは、どのようなチャレンジを受けるでしょうか。また、今一番教会に必要な信仰とは何だと示されるでしょうか。今月の主題について共に分かち合いましょう。