2016年11月 祈祷会・教会学校 聖書箇所 11/06日 ダニエル書1章1-21節「神さまの計らいによって」
総合テーマ 神の御心に忠実に生きる
◆預言者ダニエルについて
・ダニエルは預言者エゼキエルとほぼ同じ年齢です。ダニエルはバビロン捕囚の最初の集団と共にバビロンに連れて行かれます。そして、その生涯をバビロンの王宮で過ごし、王に認められて国で高い地位を得ます。彼はバビロン帝国の王❶ネブカドネツアル王と❷ベルシャツアル王、続いてバビロン帝国に代わって覇権を握るペルシャの王❸ダレイオス王、それに続く❹キュロス王の元年まで歴代の王に仕えていきます。このキュロス王がイスラエルの神殿の修復をエズラに許可していくことになります。エレミヤがイスラエルに残された民に預言し、エゼキエルが捕囚の民に預言したのに対して、ダニエルは歴代の王に仕えながら預言活動を行いました。また、ダニエルの預言の中には終末に関する預言もあり、ヨハネの黙示録との終末預言の関連性も指摘されています。
◆黙想のポイント
・異教の国で、しかも王様に仕えようとするダニエルと3人の仲間にとって、生活習慣において聖書の教えを守り通していくことがいかに難しいことだったかが伺えます。彼らの戸惑い、励まし合い、一大決心をして侍従長に自分たちの要望を口にしていく姿を黙想しましょう。
◆バビロンの宮廷でのダニエル
1:1 ユダの王ヨヤキムが即位して三年目のことであった。バビロンの王ネブカドネツァルが攻めて来て、エルサレムを包囲した。
1:2 主は、ユダの王ヨヤキムと、エルサレム神殿の祭具の一部を彼の手中に落とされた。ネブカドネツァルはそれらをシンアルに引いて行き、祭具類は自分の神々の宝物倉に納めた。
>>>ここに主なる神がヨヤキム王だけでなく、エルサレム神殿にあった祭具の中の特に貴重なものをバビロンに持ち運び、宝物庫に保管されたことがさりげなく語られています。これがやがてイスラエルが神殿を復興していく際に(エズラ1章7節、7章19節、8章24節)用いられていくことが示唆されています。
1:3 さて、ネブカドネツァル王は侍従長アシュペナズに命じて、イスラエル人の王族と貴族の中から、
1:4 体に難点がなく、容姿が美しく、何事にも才能と知恵があり、知識と理解力に富み、宮廷に仕える能力のある少年を何人か連れて来させ、カルデア人の言葉と文書を学ばせた。
1:5 王は、宮廷の肉類と酒を毎日彼らに与えるように定め、三年間養成してから自分に仕えさせることにした。
>>>バビロンの王ネブカドネツアルの優れた政治姿勢の一面が伺えます。征服した国の中から将来性のある優秀な人材を選抜し、彼らにさらなる教養と体力を養わせました。
1:6 この少年たちの中に、ユダ族出身のダニエル、ハナンヤ、ミシャエル、アザルヤの四人がいた。
>>>この時代はすでに北王国イスラエルは滅ぼされ、捕囚の民として先に連れ去られているため、少年たちがダビデ王と同じユダ族の王族であり、貴族だったことはうなずけます。
1:7 侍従長は彼らの名前を変えて、ダニエルをベルテシャツァル、ハナンヤをシャドラク、ミシャエルをメシャク、アザルヤをアベド・ネゴと呼んだ。
1:8 ダニエルは宮廷の肉類と酒で自分を汚すまいと決心し、自分を汚すようなことはさせないでほしいと侍従長に願い出た。
>>>彼らの名前の意味については聖書教育誌をご参照下さい。恐らく肉類の中には律法に教えられている動物たちの肉が含まれていたからでしょう。彼らは異国の地にあっても神の律法を守ろうとしていたことが伺えます。
1:9 神の御計らいによって、侍従長はダニエルに好意を示し、親切にした。
>>>一見何の変哲もない侍従長の人事ですが、このような背後にも神の御手が及んでいることを示されます。もし、これがもっと人種差別をする高慢な侍従長だったならば、こうはいかなかったことでしょう。神の総合的な守りと導きをここに見ることができます。
1:10 侍従長はダニエルに言った。「わたしは王様が恐ろしい。王様御自身がお前たちの食べ物と飲み物をお定めになったのだから。同じ年ごろの少年に比べてお前たちの顔色が悪くなったら、お前たちのためにわたしの首が危うくなるではないか。」
1:11 ダニエルは、侍従長が自分たち四人の世話係に定めた人に言った。
1:12 「どうかわたしたちを十日間試してください。その間、食べる物は野菜だけ、飲む物は水だけにさせてください。
1:13 その後、わたしたちの顔色と、宮廷の肉類をいただいた少年の顔色をよくお比べになり、その上でお考えどおりにしてください。」
1:14 世話係はこの願いを聞き入れ、十日間彼らを試した。
1:15 十日たってみると、彼らの顔色と健康は宮廷の食べ物を受けているどの少年よりも良かった。
1:16 それ以来、世話係は彼らに支給される肉類と酒を除いて、野菜だけ与えることにした。
>>>ダニエルは王様から託された使命に逆らうことを恐れた侍従長に諦めずに交渉し、彼らの要望通りにことを運ぶことが出来ました。ダニエルの知恵もまた、神さまからの授かりものだったのではないでしょうか。
1:17 この四人の少年は、知識と才能を神から恵まれ、文書や知恵についてもすべて優れていて、特にダニエルはどのような幻も夢も解くことができた。
1:18 ネブカドネツァル王の定めた年数がたつと、侍従長は少年たちを王の前に連れて行った。
1:19 王は彼らと語り合ったが、このダニエル、ハナンヤ、ミシャエル、アザルヤと並ぶ者はほかにだれもいなかったので、この四人は王のそばに仕えることになった。
1:20 王は知恵と理解力を要する事柄があれば彼らに意見を求めたが、彼らは常に国中のどの占い師、祈祷師よりも十倍も優れていた。
>>>結局、ダニエルと三人の仲間たちは王様に最も近いところで仕えることができるようになりました。そして、今後さらに王様の信頼を勝ち取り、イスラエルの神に対する特別な評価を受けて行くこととなり、神殿の再建へとつながっていきます。イスラエルの民のエルサレム帰還への道筋が捕囚の初期の段階から形成されていくことになるのです。
1:21 ダニエルはキュロス王の元年まで仕えた。
>>>このキュロス王が、就任して最初に手掛けていく政治がイスラエル神殿の復興支援でした。すべては初めから神の壮大なご計画の中にあることが分かります。神に選ばれ、用いられたダニエルたちの果たしていく役割の大きさが理解できる箇所です。
ヨシュア記1章9節「わたしは、強く雄々しくあれと命じたではないか。うろたえてはならない。おののいてはならない。あなたがどこに行ってもあなたの神、主は共にいる。」
神さまは異教社会のただ中にいる私たちにも目を注ぎ続け、クリスチャンとしての証しを立てながら生きていくことを励まして下さいます。
◆分かち合いのポイント
・普段の生活(異教社会)の中で、クリスチャンとして生きる時に相手に理解を求めなければならなかった体験や生活習慣上の違いから気まずい思いをしたことなど、自由に分かち合いましょう。その時に見出した神の備えや助けについても分かち合いましょう。