使徒言行録20章17~24節「聖霊に促されて」
テーマ クリスチャンとして生きる信仰
◆パウロのコリント以降の足取り…新共同訳聖書巻末聖書地図8のパウロの宣教旅行2・3を参照
・18章18節~船でシリア州へ(アキラとプリスキラ同行)▶エフェソ短期滞在し再び舟で出発▶ガラテヤ・フリギア地方巡回▶カイサリア▶エルサレム▶アンティオキアへ戻る…この間の解説はあまり詳細に語られていない。
・18章23節~第三回伝道旅行へ出発し、ガラテヤ・フルギア地方▶
・19章1節~今回は舟ではなく内陸地方を通ってエフェソで宣教活動(アポロはコリントで宣教活動中)し、三か月間会堂で宣教▶会堂ではなくティラノ講堂に宣教活動場所を移して2年間活動。
・19章21節~銀細工人デメトリア率いる者たちによる騒動が起きてガイオとアリスタルコが捕えられるが、パウロは難を逃れる。
・20章1節~マケドニア州とギリシャを巡回…ギリシャで3か月滞在▶フィリピ▶トロアスから船出▶サモス島寄港▶ミレトス到着し、今回の箇所とつながる。
*なお、パウロは五旬節、つまりペンテコステの日までにはエルサレムに戻りたいと言う理由からエフェソに立ち寄る代わりに彼らにパウロの方に合いに来てもらうようにしたことが分かる。
◆エフェソの長老たちに別れを告げる
20:17 パウロはミレトスからエフェソに人をやって、教会の長老たちを呼び寄せた。
>>>そうまでして彼らに会いたいと思うパウロの行動にエフェソの群れに対するパウロの思いの大きさが感じられる。
20:18 長老たちが集まって来たとき、パウロはこう話した。「アジア州に来た最初の日以来、わたしがあなたがたと共にどのように過ごしてきたかは、よくご存じです。
20:19 すなわち、自分を全く取るに足りない者と思い、涙を流しながら、また、ユダヤ人の数々の陰謀によってこの身にふりかかってきた試練に遭いながらも、主にお仕えしてきました。
>>>このことはパウロの数えきれない宣教の挫折と迫害の多さを物語っているのではないでしょうか。
20:20 役に立つことは一つ残らず、公衆の面前でも方々の家でも、あなたがたに伝え、また教えてきました。
>>>会堂での宣教活動が困難になったため、広場や家庭集会を通して宣教活動を展開して来たことが伺えます。そしてなんとかして彼らの霊的な成長を促し、信仰生活が確立し、キリストの弟子にふさわしく生きる信仰を育てようと精一杯の努力を積み重ねてきたことが伝わって来ます。「一つ残らず…教えてきました。」という確信に満ちたパウロの言葉の重みを感じます。
20:21 神に対する悔い改めと、わたしたちの主イエスに対する信仰とを、ユダヤ人にもギリシア人にも力強く証ししてきたのです。
>>>パウロが異邦人伝道を展開する中でも最後まで同朋のユダヤ人への宣教も続けたことが伺えます。そして、その宣教内容を彼なりに要約すると、彼自身が語っているように「神に対する悔い改めと、…主イエスに対する信仰」について重点的に語って来たことがわかります。
20:22 そして今、わたしは、“霊”に促されてエルサレムに行きます。そこでどんなことがこの身に起こるか、何も分かりません。
20:23 ただ、投獄と苦難とがわたしを待ち受けているということだけは、聖霊がどこの町でもはっきり告げてくださっています。
>>>パウロがエルサレムに戻る理由がここで明らかにされます。それは決して楽なものではないことを覚悟しています。今回のエルサレムへの旅は聖霊が繰り返し「どこの町でもはっきり告げてくださって」いたところの避けて通れない道順であることが述べられています。
20:24 しかし、自分の決められた道を走りとおし、また、主イエスからいただいた、神の恵みの福音を力強く証しするという任務を果たすことができさえすれば、この命すら決して惜しいとは思いません。
>>>たとえ、エルサレムでどのようなことが待ち受けているとしても、やはりパウロはそこでキリストの証人として自分に用意されている神の使命を命の犠牲を覚悟で果たす決心を固めていることがわかります。
*今回の聖書教育誌の範囲はここまでですが、少し先も参照しておきましょう。…
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20:25 そして今、あなたがたが皆もう二度とわたしの顔を見ることがないとわたしには分かっています。わたしは、あなたがたの間を巡回して御国を宣べ伝えたのです。
20:26 だから、特に今日はっきり言います。だれの血についても、わたしには責任がありません。
20:27 わたしは、神の御計画をすべて、ひるむことなくあなたがたに伝えたからです。
20:28 どうか、あなたがた自身と群れ全体とに気を配ってください。聖霊は、神が御子の血によって御自分のものとなさった神の教会の世話をさせるために、あなたがたをこの群れの監督者に任命なさったのです。
20:29 わたしが去った後に、残忍な狼どもがあなたがたのところへ入り込んで来て群れを荒らすことが、わたしには分かっています。
20:30 また、あなたがた自身の中からも、邪説を唱えて弟子たちを従わせようとする者が現れます。
>>>教会形成がなされていく時、信仰理解における様々な衝突や異端信仰との戦いが避けられないことをパウロは警告し、またそれに負けないように励ましを与えています。
20:31 だから、わたしが三年間、あなたがた一人一人に夜も昼も涙を流して教えてきたことを思い起こして、目を覚ましていなさい。
>>>エフェソはパウロが3年間に渡って福音宣教に勤しんだ最も長期滞在をした場所でした。そして、その日々はどれほど密度の濃いものであったかが伺えます。
20:32 そして今、神とその恵みの言葉とにあなたがたをゆだねます。この言葉は、あなたがたを造り上げ、聖なる者とされたすべての人々と共に恵みを受け継がせることができるのです。
20:33 わたしは、他人の金銀や衣服をむさぼったことはありません。
20:34 ご存じのとおり、わたしはこの手で、わたし自身の生活のためにも、共にいた人々のためにも働いたのです。
20:35 あなたがたもこのように働いて弱い者を助けるように、また、主イエス御自身が『受けるよりは与える方が幸いである』と言われた言葉を思い出すようにと、わたしはいつも身をもって示してきました。」
>>>歴史に残るパウロの告別説教と言えるのではないでしょうか。
20:36 このように話してから、パウロは皆と一緒にひざまずいて祈った。
20:37 人々は皆激しく泣き、パウロの首を抱いて接吻した。
20:38 特に、自分の顔をもう二度と見ることはあるまいとパウロが言ったので、非常に悲しんだ。人々はパウロを船まで見送りに行った。
>>>福音宣教に遣わされる時、主が与えて下さる出会いとそこで築き上げられる絆の深さに感動すら覚えます。この箇所から福音宣教のために励ましを受けながら今週も共に歩ましょう。