※「第二神殿」に関する記事(Wikipedia)より
歴史的には、紀元前10世紀にソロモン王が建設した神殿(第一神殿)、バビロン捕囚からの解放後の紀元前515年にゼルバベルの指揮でほぼ同じ場所に再建された神殿(第二神殿)、紀元前20年にヘロデ大王によって完全改築に近い形で大拡張された神殿(ヘロデ神殿)がある。神殿はユダヤ戦争においてユダヤ人が立てこもったため、紀元70年のローマ帝国軍の攻撃によって破壊された。現在「嘆きの壁」と呼ばれる部分は、このヘロデ神殿を取り巻いていた外壁の西側の部分とされ、ユダヤ人は「西の壁」と呼んでいる。この部分を含め外壁はその基礎部分がほぼすべて残されている。しかし、近年、詩編には連作的な小歌集が含まれ、さらにそれらが有機的に配列※されているとの仮説が提出され広く受け入れられている。この見解に立つならば各作品は個別にではなく、前後関係の中で理解されなければならない。
※有機的配列に関する記事(Wikipedia)より
マソラ本文(ほんもん〜ユダヤ教社会に伝承されてきたヘブライ語聖書のテキスト)において、詩編は以下のように全五巻に分けられる。それぞれの巻の終わりはかならず二回の「アーメン」(そうなりますように)という言葉で結ばれている。これは内容にもとづくよりは形式的な区分であり、モーセ五書の五部構成と対応させたユダヤ教の学者たちによるものとされている。
第1編から第41編
第42編から第72編
第73編から第89編
第90編から第106編
第107編から第150編
詩編72章20節に「エッサイの子ダビデの祈りは終わった。」とあり、つづく詩編73編の1節の前からが「アサフの賛歌」となっている。
◇詩編37編について(朗読箇所は1〜11節)
一行おきに先頭の言葉がアルファベットの順になっているアルファベット詩であり、知恵文学の伝統に立つ作品。
作者は高齢の人であり(25節)、ここに散りばめられた教訓は彼の見たことに基づく。(25、35節)
「地を継ぐ」をKeyword に全体は [1〜11節] [12〜22節] [23〜29節] [30〜40節]の4段落で構成される。
「地」とは
・人間が生きる世界としての「地」
・国土、領地としての「地」
・土壌としての「地」
・新約聖書においては「天の国」を指す
「地を継ぐ」ことは、単に財産を継ぐことではない。豊かな土地を継ぐことによって_大きな神の祝福を得る_ことである。これにより民族が栄える。(神より祝福された大いなる民族となる)
「地を継ぐ」ことは_長子の特権_であり、ヤコブは「地を継ぐ」ことの重要性が分かっていたため、エソウと取引をし、長子の特権を得た。
つまり「地を継ぐ」ことは_神の豊かな祝福の中に生かされる特権をあたえられる_こと。
この詩は詩編36編13節の「悪事を働く者は必ず倒れる。彼らは打ち倒され/再び立ち上がることはない。」を受けて始まる。(前後関係の中で理解)
まず「いら立つな」(1,7,8節)が繰り返される。「悪しき者はやがて必ず断たれる」からである。
「断たれ(る)」は「地を継ぐ」の対立概念として使われている。(9,22,28,34,38節)
それ故、「主に信頼し」「主にゆだね」「主に任せ」「善を行え」と勧められる。(3〜5節)
6節「あなたの正しさを光のように/あなたのための裁きを/真昼の光のように輝かせてくださる」
は、35編10節「主よ、あなたに並ぶものはありません。貧しい人を強い者から/貧しく乏しい人を搾取する者から/助け出してくださいます。」との確信に応える祝福の言葉。
◇どのような人が「地を(受け)継ぐ」のか?
9節「悪事を謀る者は断たれ/主に望みをおく人は、地を継ぐ」(反意的構成による「内在的並行法」という表現)
「主に望みをおく人」とは口語訳聖書では「主を待ち望む者」
11節「貧しい人は地を継ぎ/豊かな平和に自らをゆだねるであろう」
「貧しい人」とは口語訳聖書では「柔和な者」
新約聖書マタイによる福音書5章5節「柔和な人たちは幸いである、/その人たちは地を受け継ぐ」と書かれている通り。
神の豊かな祝福の中に入ることのできる人は、「主を待ち望む人」「柔和な人」