生涯の日を正しく数えるように教えてください。知恵ある心を得ることができますように。
詩編90編12節
詩編の中には、礼拝する共同体の祈りと賛美、個々の信仰者の祈りと賛美が詰まっている。そこから礼拝が豊かに形成され、信仰者は信仰の養いを受けて来た。我々はそのような歴史の系譜に連なる者である。
詩編においては、喜びや感謝と共に、疑いや迷い、嘆きや悔い改め、様々な思いと祈りが神の前にささげられている。神は、順調なときだけではなく、常に祈ることを許し、求めてくださる。そして嘆き悲しみを神に隠さず申し上げるとき、それを受け止めて下さり、希望しつつ待つ心、安らぎ、賛美に変えて返して下さる。このような神との交わり、「祈り」ができる信仰者の生涯は、この不安な世の中でいかに幸いなものであろうか。
詩編90編には、聖書の示す人間観が表れている。ひとつは永遠なる神に対して、「有限なる存在」としての人間の姿である。人間がどんなに生命をコントロールしようと願っても、神はご自身の定める時に「人の子よ、帰れ」とおっしゃる。人間の命は、神の永遠のものさしからしたら、ほんの一瞬である。
しかし、人間の生涯は無意味でくだらないものではない。聖書は繰り返し、「神に愛される、かけがえのない存在としての一人ひとり」について示す。聖書が示す「わたし」のいのちは、ただ一度きりのものであり、特別なものである。だからこそ、我々はこの素晴らしい一度きりの生涯を真剣に生きる責任を預かっている。それが「生涯の日を正しく数える」ことである。「正しく数える」には「まことの神を信じ従う」という「知恵」が必要である。日々祈り賛美しつつ、頂いた生涯をせいいっぱい歩みたい。;;”293″