2016年8月 祈祷会・教会学校 聖書箇所
8/06日 列王記上17章1-16節「エリヤに臨んだ主の言葉」
総合テーマ 預言者の使命
予備知識…~今回の箇所までの概略
列王記上概略)列王記はサムエル記(預言者サムエル~ソロモン王~ダビデ王までの歴史)の続編です。
1~11章はダビデ王の後を継いだソロモン王の治世
12~16章は分裂王国初期の時代(ユダの王は3代目アサ王まで、北王国は7代目アハブ王まで)
17~22章は預言者エリヤが登場し活躍する時代
なお、列王記下はエリヤの後を継いだ預言者エリシャが活躍していくことになります。
まめ知識…旧約聖書の各書簡はもともと上下などと分かれていませんでした。紀元前3世紀頃に聖書が巻物になってまとめられる際に一つの巻物にするには長過ぎる場合に分割されて上下2巻になったということです。
黙想のポイント
・今回から預言者エリヤを中心に内容は展開しますが、理解を深めるためにはエリヤと対峙するイスラエルの王アハブのことについて語られている16章29~33節を念頭に置くと良いでしょう。
・かつてないほどに偶像礼拝に陥って神の怒りを招いた北王国イスラエルに神が預言者エリヤを遣わされるのです。
その目的の一つは、北王国イスラエルに臨む大干ばつが単なる自然災害ではなく、神が悔い改めを導くためにこの災害がイスラエルの上に臨むことを預言するためでした。
◆イスラエルの王アハブ
16:29 オムリの子アハブがイスラエルの王となったのは、ユダの王アサの治世第三十八年であった。オムリの子アハブは、サマリアで二十二年間イスラエルを治めた。
16:30 オムリの子アハブは彼以前のだれよりも主の目に悪とされることを行った。
16:31 彼はネバトの子ヤロブアムの罪を繰り返すだけでは満足せず、シドン人の王エトバアルの娘イゼベルを妻に迎え、進んでバアルに仕え、これにひれ伏した。
16:32 サマリアにさえバアルの神殿を建て、その中にバアルの祭壇を築いた。
16:33 アハブはまたアシェラ像を造り、それまでのイスラエルのどの王にもまして、イスラエルの神、主の怒りを招くことを行った。
◆預言者エリヤ、干ばつを預言する
17:1 ギレアドの住民である、ティシュベ人エリヤはアハブに言った。「わたしの仕えているイスラエルの神、主は生きておられる。わたしが告げるまで、数年の間、露も降りず、雨も降らないであろう。」
>>>聖書に登場する大預言者エリヤの最初の預言の言葉がこれです。興味深いのは、神とエリヤの会話が省略され、いきなりエリヤがアハブ王に預言の言葉を伝えるところから始まります。最初のエリヤの言葉には皮肉が込められているのがお分かりでしょうか。アハブ王は本来仕えるべきイスラエルの神にではなく、異教のバアルの神やアシェラ像を造ってそれらを拝んでいたのです。事実上それらの偶像の神に仕えていました。そのためにイスラエルの神を無視し、死んで何も影響を及ぼせないかのようにイスラエルの神を取り扱ってしまったのです。そのようなアハブ王に対してエリヤはこう言っているのです。「あなたが仕えなくなってしまった神、そうです。わたしの仕えているイスラエルの神、主は死んで何もできない神ではなく、生きておられる。あなたが偶像礼拝に陥り、イスラエルの神を侮り、北王国イスラエル全体に神の怒りを招いたために、わたしが告げるまで、数年の間、露も降りず、雨も降らないであろう。このことを通して神はこの国とその指導者であるあなたに悔い改めを導かれる。」と告げたのです。 (エリヤの出身地については聖書教育誌参照、なお聖書教育誌にある北イスラエル7代目の王オムリとあるのは誤りか?)
17:2 主の言葉がエリヤに臨んだ。
17:3 「ここを去り、東に向かい、ヨルダンの東にあるケリトの川のほとりに身を隠せ。
17:4 その川の水を飲むがよい。わたしは烏に命じて、そこであなたを養わせる。」
17:5 エリヤは主が言われたように直ちに行動し、ヨルダンの東にあるケリトの川のほとりに行き、そこにとどまった。
17:6 数羽の烏が彼に、朝、パンと肉を、また夕べにも、パンと肉を運んで来た。水はその川から飲んだ。
17:7 しばらくたって、その川も涸れてしまった。雨がこの地方に降らなかったからである。
>>>アハブ王に預言した後で身を隠すように神に命じられたのは、王に逆らい、国に災いを招くような聞き捨てならないことを預言したために、暗殺されないためだったと考えられます。神は鳥を用いて朝と夕に毎日パンと肉をエリヤに届けさせました。水は川の水を飲んでいましたが、ついに川も涸れ、神は次の指示を出します。
17:8 また主の言葉がエリヤに臨んだ。
17:9 「立ってシドンのサレプタに行き、そこに住め。わたしは一人のやもめに命じて、そこであなたを養わせる。」
>>>次に神がエリヤを導かれたのは、聖書教育誌が指摘しているように王妃イゼベルの出身地であるシドンの一地方でした。エリヤは神から指示を受けると直ちに場所を移動しています。従って、一切の着替えなども旅に持っていかなかったはずです。川の水が無くなるまでの恐らく数か月間の内に体と服は汚れ、髪や髭も伸びて当時の物乞いのような姿に変貌したことでしょう。これがエリヤを探し出して捕えようとする人々にとって最善の変装になったのではないでしょうか。しかも、神が彼に移動してしばらく住むように命じたのはアハブ王の妻イゼベルの出身地シドンにある町の一つでした。エリヤの追手たちはイスラエル人のだれかの所にかくまわれているか、遠い国に逃げたと思ったに違いありません。まさか王妃イゼベルのおひざもとの町の一つに滞在しているとは考えもしなかったことでしょう。ここに神がエリヤを守るために総合的に働いておられるのを見ます。
17:10 彼は立ってサレプタに行った。町の入り口まで来ると、一人のやもめが薪を拾っていた。エリヤはやもめに声をかけ、「器に少々水を持って来て、わたしに飲ませてください」と言った。
17:11 彼女が取りに行こうとすると、エリヤは声をかけ、「パンも一切れ、手に持って来てください」と言った。
17:12 彼女は答えた。「あなたの神、主は生きておられます。わたしには焼いたパンなどありません。ただ壺の中に一握りの小麦粉と、瓶の中にわずかな油があるだけです。わたしは二本の薪を拾って帰り、わたしとわたしの息子の食べ物を作るところです。わたしたちは、それを食べてしまえば、あとは死ぬのを待つばかりです。」
17:13 エリヤは言った。「恐れてはならない。帰って、あなたの言ったとおりにしなさい。だが、まずそれでわたしのために小さいパン菓子を作って、わたしに持って来なさい。その後あなたとあなたの息子のために作りなさい。
17:14 なぜならイスラエルの神、主はこう言われる。主が地の面に雨を降らせる日まで/壺の粉は尽きることなく/瓶の油はなくならない。」
17:15 やもめは行って、エリヤの言葉どおりにした。こうして彼女もエリヤも、彼女の家の者も、幾日も食べ物に事欠かなかった。
17:16 主がエリヤによって告げられた御言葉のとおり、壺の粉は尽きることなく、瓶の油もなくならなかった。
>>>サレプタの町では、エリヤだけでなく同じく食べ物が後一食分しか残っていないやもめ親子の命も神はエリヤを通して養われることになります。外国の貧しい親子にも目を留められるイスラエルの神の姿があります。今回の範囲の外ですが、エリヤとの出会いでやもめが24節のような信仰告白に導かれているのも神のご計画の内にあったのではないでしょうか。深刻な干ばつの中で、神は世界に悔い改めを導くと共に、神の救いの御業を異邦人にももたらしておられたのです。
17:24 女はエリヤに言った。「今わたしは分かりました。あなたはまことに神の人です。あなたの口にある主の言葉は真実です。」
分かち合いのポイント
・私たちはいつも準備万端で礼拝をしたり、様々な奉仕活動ができるわけではありません。それでもエリヤのようにその時にできる精一杯の行動を取ることができるでしょうか。不十分な中で神に用いられた体験などを分かち合いましょう。