西川口キリスト教会 斎藤 信一郎 牧師
今月の主題…「約束を誠実に実行し続ける神」
◆前回から今回の箇所までの流れ
前回の場面は、アブラハムとサラとの間に待望の子どもイサクが与えられ、繰り返しお祝いをし、神を讃えて喜んだアブラハム夫妻の話でした。今回はその続きです。
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に聖書地図で確認し、違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟発行の教会学校教案誌です。詳細は下記のURLでご照会下さい。 http://www.bapren.com/index.html (『聖書教育』ホームページ)
◆黙想のポイント
創世記を読むとき、アブラハムなど、その箇所で一番活躍する人物を主人公として捉えてしまいます。しかし、創世記1章1節で明らかにされているように、本当の主人公は主なる神です。この前提に立って今回の箇所を黙想するようにしましょう。すると、違ったメッセージがあることに気づかれることでしょう。
◆ハガルとイシュマエル
21:9 サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムとの間に産んだ子が、イサクをからかっているのを見て、
21:10 アブラハムに訴えた。「あの女とあの子(原語では「この女奴隷と彼女の子ども」)を追い出してください。あの女(原語では「この女奴隷」)の息子は、わたしの子イサクと同じ跡継ぎとなるべきではありません。」
21:11 このことはアブラハムを非常に苦しめた。その子も自分の子であったからである。
21:12 神はアブラハムに言われた。「あの子供とあの女(原語では「あなたの女奴隷」)のことで苦しまなくてもよい。すべてサラが言うことに聞き従いなさい。あなたの子孫はイサクによって伝えられる。
>>>原語では、サラのハガルへの言葉遣いと神のハガルへの言葉遣いには違いがあります。日本語ではあまり区別がないため、下線部分のように表記しておきました。
21:13 しかし、あの女(原語では「その女奴隷」)の息子も一つの国民の父とする。彼もあなたの子であるからだ。」
>>>主なる神はアブラハムが「多くの国民の父となる」と告げられました(17章4-6節、他にも12章2、13章16節、15章5節)。また、イシュマエル本人についても創世記17章20節で次のように語っておられます。
「イシュマエルについての願いも聞き入れよう。必ず、わたしは彼を祝福し、大いに子供を増やし繁栄させる。彼は十二人の首長の父となろう。わたしは彼を大いなる国民とする。」
これらの約束が背後にあると考えられます。
21:14 アブラハムは、次の朝早く起き、パンと水の革袋を取ってハガルに与え、背中に負わせて子供を連れ去らせた。ハガルは立ち去り、ベエル・シェバの荒れ野をさまよった
>>>11節のように、アブラハムは、一時はハガルと息子イシュマエルのことで非常に苦しみますが、神の御心を知って素早く行動します。ロトの場合と違い、神の指示ですぐに行動を起こしたのでした。
21:16 「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」と言って、矢の届くほど離れ、子供の方を向いて座り込んだ。彼女は子供の方を向いて座ると、声をあげて泣いた。
>>>残念ながら、ハガルは主なる神に助けを祈る習慣はなかったようです。そのことが次の節に影響しています。
21:17 神は子供の泣き声を聞かれ、天から神の御使いがハガルに呼びかけて言った。「ハガルよ、どうしたのか。恐れることはない。神はあそこにいる子供の泣き声を聞かれた。
>>>神はハガルの泣き声ではなく、イシュマエルの泣き声を聞かれたことが語られています。そして、御使いを通してハガルに神の御心が語られます。この違いに注目しましょう。ロトの場合もそうでしたが、主なる神(もしくは人間の姿を取って表れたイエス・キリストのような存在)が直接語りかけているのは、アブラハムしかいません。
21:18 立って行って、あの子を抱き上げ、お前の腕でしっかり抱き締めてやりなさい。わたしは、必ずあの子を大きな国民とする。」
>>>子どもをまず安心させてあげなさいとの、神の愛と配慮に溢れた言葉に注目しましょう。また、この箇所には神の堅い決意が伺えます。
21:19 神がハガルの目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけた。彼女は行って革袋に水を満たし、子供に飲ませた。 21:20 神がその子と共におられたので、その子は成長し、荒れ野に住んで弓を射る者となった。
>>>神は特別な計らいで、ハガルに水のある場所を示します。そして、神は引き続き共にいて、厳しい環境の荒れ野での生活を守られたことが語られています。
21:21 彼がパランの荒れ野に住んでいたとき、母は彼のために妻をエジプトの国から迎えた。
>>>この節は、残念ながらハガルはその後も、アブラハムが信じて従い続けた主なる神に、向き合うことがなかったことを物語っています。もし、イシュマエルの嫁について神に相談していたら、歴史はどのように変わっていたのでしょうか。考えさせられます。それでも主なる神はアブラハムの祈りに応え、誠実に約束を実行し続けてくださいます。神の変わることのない愛と信仰者の執り成しの祈りの力に改めて感動します。
◆話し合いのポイント
- 聖書教育誌の「話し合いのポイント」および少年少女科の「活動」などを参考にして下さい。
- 青年成人科の「話し合いのポイント」や少年少女科の「おはなし」少年少女科のコラムも考えさせられます。