西川口キリスト教会 斎藤 信一郎 牧師
今月の主題…「みこころを尋ねて行動する信仰」
◆今回の箇所の背景
三人兄弟の長男としてカルデアのウルで生まれ育ったアブラム。妻サライとの間に子どもはいませんでした。父テラに従い、家の者たちや弟ハランの息子ロトの家の者たちと一緒に、カナンへの移住を目指して旅立ちます。出発以前に一番下の弟ハランは死に、旅の途中で弟ハランとよく似た名の場所(言語では両者の最初の字「ハ」のつづりと発音の仕方に違いがある言葉です)に滞在中、父は205歳で亡くなります。父のテラがなぜカナンを目指していたのかは不明です。また、なぜハランに一行が留まったのかも不明ですが、結果的にこの後カナンへ向かうことになるアブラムたちでした。
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
<原則として、ご自分で聖書本文を読み、黙想してから以下の文章、聖書教育誌、その他の参考文献を読むことをお奨めします。また、黙想の際に違う聖書訳を比較して読むこともお奨めします。>
※『聖書教育』誌は日本バプテスト連盟発行の教会学校教案誌です。詳細は下記のURLでご照会下さい。 http://www.bapren.com/index.html (『聖書教育』ホームページ)
◆黙想のポイント
アブラムがどのような時に祭壇を築き、主の名を呼んだのか。また、そうしなかった時にどのような出来事に遭遇していくのか。この観点がアブラムの物語を理解していく上で重要となります。これらを確認しながら黙想するのが今月のポイントです。特に今回はアブラムが、神のみこころを尋ねながら旅を進めているところに注目しましょう。
◆アブラムの召命と移住
12:1 主はアブラムに言われた。「あなたは生まれ故郷/父の家を離れて/わたしが示す地に行きなさい。 12:2 わたしはあなたを大いなる国民にし/あなたを祝福し、あなたの名を高める/祝福の源となるように。 12:3 あなたを祝福する人をわたしは祝福し/あなたを呪う者をわたしは呪う。地上の氏族はすべて/あなたによって祝福に入る。」
>>>アブラムの時代にも、その地域特有の宗教は存在していたと考えられています。故郷や父の家を離れるようにとの神の指示には、それらの宗教と決別する意図があったのかも知れません。後々、孫のヤコブが叔父の元へ行った時、叔父は偶像の守り神を拝んでいたことが語られています(31章参照)。3節で注目したいのは、全世界の民の祝福の基準が、アブラムとの関わり方に関係すると神が宣言している点です。アブラムが祝福したい人が祝福され、またアブラムが呪う者が呪われるということではなく、アブラムを祝福する者、アブラムを呪う者が、それぞれに同じ報いを受けると神は宣言します。あくまで神の側に主導権があるのです。
12:4 アブラムは、主の言葉に従って旅立った。ロトも共に行った。アブラムは、ハランを出発したとき七十五歳であった。 12:5 アブラムは妻のサライ、甥のロトを連れ、蓄えた財産をすべて携え、ハランで加わった人々と共にカナン地方へ向かって出発し、カナン地方に入った。 12:6 アブラムはその地を通り、シケムの聖所、モレの樫の木まで来た。当時、その地方にはカナン人が住んでいた。12:7 主はアブラムに現れて、言われた。「あなたの子孫にこの土地を与える。」アブラムは、彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。
>>>聖書の巻末の地図で、シケムの場所をご確認下さい。聖書で度々登場することになる地名です。後の歴史の中で、この地は北王国イスラエルの首都、また、地方の重要都市となり、主イエスの時代には、ユダヤ人と敵対関係になるサマリア人の土地になった場所でもあります。アブラムはカナンの地に入ってここで初めて祭壇を築き、神に礼拝を献げています。そのような意味で、イスラエル史における最初に礼拝が献げられた、記念すべき地であると言うことができます。その一方で、注意深く読むと、神はこの地をアブラムにではなく、彼の子孫に与えると約束しています。従って、シケムはアブラム自身が住むことになる約束の地ではないということから、旅を続けることになります。
12:8 アブラムは、そこからベテルの東の山へ移り、西にベテル、東にアイを望む所に天幕を張って、そこにも主のために祭壇を築き、主の御名を呼んだ。
>>>ベテルもまた聖書で度々登場する重要な場所になっていきます。主の御名を呼ぶという表現は、そこで礼拝を献げたことを意味します。7節でシケムに祭壇を築いた時の動機は、神が現れて彼に語って下さったという記念碑的な意味合いがあったのに対して、ベテルでは神の御心を求め、礼拝するために祭壇を築いたという違いがあります。アブラムが初めて自発的に神に祭壇を築いて礼拝し、みこころを尋ね求めたという点で、ベテルもまた歴史的に重要な場所だと言えます。
12:9 アブラムは更に旅を続け、ネゲブ地方へ移った。
>>>この節には、アブラムがさらに南のネゲブ地方へ移動していく姿が語られています。しかし、アブラムがこのように旅を続けたのは、先のベテルでアブラムがみこころを求めて祈り、礼拝したにもかかわらず神は現れず、ベテルの地を彼らの落ち着き先として与えて下さるとの確証が得られなかったからだとも考えられます。神のみこころに忠実に従おうとするアブラムの信仰姿勢が現れている箇所といえます。
◆話し合いのポイント
・聖書教育誌の「話し合いのポイント」および少年少女科の「活動」などを参考にして下さい。